今回は、美容室とお客様の遅刻にまつわるお話です。

 美容室に限らずとも、事前予約したレストランや映画、取引先との待ち合わせ等に遅れてしまい、時間に間に合わないことはよくあると思います。

 美容師にとって、お客様が時間通りにいらっしゃらないことは、日常茶飯事です。すぐに来られるのか、来店にあと15分かかってしまうのか。それによって美容師の対応は大きく変わるため、こちらはドギマギして待っています。そのため、大前提として、「少しの遅刻」でもお電話でご連絡いただけることはありがたいことです。

 ですが、もう一歩踏み込んでお話しすると、ご連絡によっては、美容師が困ってしまう場面もあります。

 それって、どういうこと?

「5分遅れます」はかえって迷惑になる可能性がある!?

 お客様から遅刻の旨のお電話を頂けることは大変ありがたいことです。ですが、例えば「5分遅れる」という旨のお電話は美容師からすると、かえって迷惑になる可能性があります。

 お電話くださったお客様からすれば、こちらの事情を考慮しお電話くださっているので、ありがたいことなのですが、良かれと思った行動が、結果として逆効果になってしまうかもしれません。

 理由は、現場の美容師に「電話に出る」という仕事が増えるからです。

その電話は、美容師が「手を止めて」受けているかも

 「遅刻してしまったから、連絡しなくては!」と美容室に急いでかけた電話は、当然ですが、美容師が受けることになります。しかし、受け手となる美容師は、今まさに「接客中」である可能性が高い。つまり、作業の「手を止めて」電話に出ているかもしれません。

 特に土日祝日の場合、美容室の予約は埋まっていることが多くなります。現場の美容師は、急ぎのお客様の施術中かもしれないし、薬剤を塗っている最中かもしれません。

 もし薬剤を塗布している最中に手を止めることになれば、電話のやりとりをしている時間が「すでに塗った部分」の薬の効き具合に影響することもあります(プロですので、そうなった場合はうまく施術を調整しますが)。

 こういった事情で、接客中の美容師にとって「電話に出る」ことは後回しにしたい作業なのです。

 しかし、電話を取るために手を止めることになってでもお電話をいただきたい場合もあります。それはどのようなケースでしょうか。

2024.04.21(日)
文=操作イトウ