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今も少年ジャンプを一生懸命読んでいます

――日本語がお上手なのも納得です。最初にハマった漫画は何でしたか?

パース:最初は『NARUTO』だったかな。海外でもすごく人気があるんですよ。『NARUTO』と『ONE PEACE』、『BLEACH』の三つが特にすごくて。『BLEACH』の連載が終わったあとは『ヒロアカ(僕のヒーローアカデミア)』や『呪術廻戦』、『鬼滅の刃』などが人気です。今も少年ジャンプを一生懸命読んでいます。日本の漫画はオーストラリアでもタイでも人気で、街なかで普通に売っているんですが、高いから高校生のときはそんなに買えなかったんです。そこから、いつか日本に行きたいなっていう思いが生まれました。

 特にタイに引っ越して最初の1年間は、結構寂しいというか、家にいる時間が多くて。それで漫画オタクになりました。1日中YouTubeで動画を見たりして。原作者の名前で調べると、英語版は出てなくても日本語版は売っていて、その上英語版よりも安いんです。日本語を読めたらコスパが良いと思い(笑)、勉強を始めました。

――お名前のパースは出身地から取ったのですか?

パース:そうです。タイでは芸能活動の時はみんなニックネームで呼ぶので、本名はスチュワートなんです。オーストラリアでは友達にスチュって呼ばれていました。懐かしいですね。今、僕をスチュワートと呼ぶ人は誰もいないので。ナクンは、名字ではなくてミドルネームなんですよ。本名がとても長いので、パース・ナクンにしたんです。

――タイに移ってから芸能活動を始めたそうですが、きっかけは何ですか?

パース:両親、どちらかというとお母さんの薦めです。お母さんは芸能関係の人ではないけれど、タイのドラマやタイの芸能人が好きなんです。初めのうちはCMのオーディションを受けたりしていたのですが、タイ語ができるようになったら、ドラマの仕事も来るようになりました。

――現在、日本でドラマ『パティスリーMON』(テレビ東京)に新人パティシエの梅田レオン役で出演されていますが、ドラマの役よりもパースさんご自身の方が日本語がお上手ですね。日本で活動するようになったきっかけを教えてください。

パース:僕がタイで出ていたドラマを見たマネージャーさんが、声をかけてくれました。僕も前から日本で活動できればいいなと言ってはいたのですが、少し事務所を調べたくらいで、行動には移していなかったんです。

 僕は日本の漫画が好きで、英語に訳されていない漫画を読んだり、日本のドラマを字幕なしで見たりするために日本語を勉強し始めました。言語としても日本語は面白い。FUNじゃなくて、興味深いという方の面白いですね。日本語は子供の頃から素敵な言語だと感じていて、聞くのもいい感じだし、喋るのも楽しいし、もちろん日本の文化も好きで。日本にいて、ほとんど違和感がないどころか、自分らしくいられるんです。もちろん習慣のことなどまだ勉強しなきゃいけないことはあります。例えば、ユニクロで初めて試着室に入ったのですが、靴を脱がなければいけないことを知らなかったんです!

 日本の漫画はもちろん今も好きで、少女漫画や恋愛漫画も読んだりします。特に『アオハライド』がめっちゃくちゃ好きです。咲坂伊緒先生の『サクラ、サク。』も読んでます。今は『東京喰種』も読んでいますが、少し言葉が難しいですね。青年コミックは漢字にふりがながついてないので読むのが少し大変です。でも頑張って読んでます。

2024.03.01(金)
文=石津文子
撮影=鈴木七絵
ヘアメイク=JHUN TAKAYAMA
スタイリスト=齋藤良介(RYOSUKE SAITO)