●すべての基礎を学んだ、リュウソウブルーとしての一年

――その後、現在の事務所(ワタナベエンターテインメント)に入り、芸能活動を始められますが、当時の心境は?

 右も左も分からないまま、事務所に入ったこともあって、事務所の方に「何をしたいですか?」と聞かれても、俳優・モデル・アイドル・アーティストといったジャンルの違いすら、よく分からなかったんです。当時はそこまで興味がなかったお芝居のレッスンを受けつつ、オーディションを受けて、なかなか上手くいかなくて、よく怒られていました。だから、その頃は「しんどいな」と思っていました。

――そんななか19年に「騎士竜戦隊リュウソウジャー」のリュウソウブルー/メルト役に抜擢されます。

 小さい頃から戦隊やライダーといったヒーローへの憧れもありましたが、やはり若手俳優の登竜門ですし、歴代のジュノングランプリは誰もが通過する道なので、その歴史を崩しちゃいけないという気持ちが強かったんです。

 そんなとき、僕の同期でもある奥野壮ちゃんが「仮面ライダージオウ」に抜擢されて、とても焦っていた中での「リュウソウジャー」のオーディションでした。だから、かなり気合が入っていましたし、プレッシャーもかなりありました。

――リュウソウブルーとしての一年で、綱さんが学んだことを教えてください。

 とにかく、1+1=2のような基本を学ばせてもらいました。挨拶や礼儀みたいなものもそうですし、上手や下手、バミリといった専門用語、カメラ前の立ち位置などなど。本当に当たり前のことですけど、そういうことをすべて教えてもらったのも、この「リュウソウジャー」の現場でした。だから、この1年間は学校に通っているような感覚でしたし、「ジュノン」でグランプリを獲ったことに続いて、僕の大きな転機になった出来事だといえますね。

2024.01.26(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖
ヘアメイク=牧野裕大
スタイリスト=三宅 剛