『呪術廻戦』の七海建人、『ゴールデンカムイ』の尾形百之助など、名だたるアニメでキーパーソンを演じてきた「ツダケン」こと津田健次郎。声優・俳優として活躍の場を広げている彼が、2023年10月13日、撮り下ろし写真集『ささやき』(講談社)を上梓した。

 写真集の発売は実に9年ぶり。キャリアを重ねてきた今だからこその“成熟した色香”が漂う一冊だ。『週刊文春』2023年10月12日発売号では、その貴重なアザーカットとインタビューを特別に掲載。今回は、誌面では語り尽くせなかった撮影秘話と“ツダケンの色気哲学”を余すところなくお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

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まじで?出すの?

「写真集のお話をいただいた時はびっくりしたんです。えっ、このタイミングで? 僕、まだやれますか?って(笑)」

 深く響く低音が心地いい。怜悧でクールなキャラクターを演じることが多い津田だが、本人は「かなりポンコツで、基本的にフワフワした人間です」と穏やかに笑う。

「50代の男性が、まさか144ページオール撮り下ろしの写真集を出すなんて……贅沢ですよね。担当編集者さんも『異例中の異例』と仰っていましたが、お知らせを聞いた皆さんも僕と同じでびっくりしたのではないでしょうか。『まじで?出すの?』って」

 2014年に出版された1st写真集『FLOWING』では「エッジが効いたモノクロのカットで、男っぽさを表現しました」と振り返る。

「今回はうってかわって“ユルく”いきましょうと。普段の僕らしく、ふわっと力が抜けた一冊にしたいなと思いました。飾らずありのまま、温かみのあるカットを読者にお届けできればと。カメラマンの𠮷田崇さんは同年代でして、呼吸が合うと言いますか、リラックスした空気感のなかでパシパシパシッとラフに撮っていただきました」

 

写真集に合わせて、ちょっとだけ鍛えました

 ロケ地は「古都」を希望したという。京都と葉山を計4日間巡り、鴨川や白川、今宮神社、海岸などを散策。いにしえから連綿と続いてきた時の流れと、津田自身の醸成された雰囲気が柔らかく調和している。

2023.10.20(金)
文=「週刊文春」編集部