大真面目に演じて笑わせる

 有働 実は私、元夫はいないですけど、元カレに振り込みを頼まれたことがあります(苦笑)。こういう人ってやっぱりいるんだな、しかもテレビ業界に! と勝手に共感しました。共感できないほうが幸せなんですけど……。

 大地 ええっ! で、有働さんは振り込んだんですか。

 有働 振り込んでしまいました。「絶対に返すから」と言われたけど返ってこないし。彼がその後どうしているのかもよくわからない(笑)。

 大地 そうでしたか。オリーブに成り代わって言えば、返されたら返されたで悲しいんですよね。絶縁の証拠ですからね。

 有働 実際、私も彼と自分に薄い関係を保てたら嬉しいみたいな思いはありました。

 大地 女心って不思議ですね。嫌だ嫌だと言いながら、突然、相手に関係を切られると、オリーブのセリフで言うなら「あ、終わった」とショックを受けてしまう。

 

 有働 私の場合、そのあたりの感情の機微は自分でもよく分かっていなかったんですよ。でも、この舞台の会話でどんどん出てくるのでなんかスッキリしました。シーンによっては30秒に1回くらい笑わせてもらって。

 大地 ありがとうございます。

 有働 大地さんは日本を代表するコメディエンヌと言われていますが、笑わせてやろうとか、意識されるものなんですか。

 大地 笑わせよう、とは思わないようにしていますが、やっぱり私自身が舞台を見に行った時に、泣きたいし笑いたいんですよね。だから宝塚時代から、クスッと笑える部分を作ることは心がけてきました。あざとく作りたくはないけど、二枚目の男役にもダメなところや三枚目的な要素は絶対あるはずだし、そこをクローズアップしたくなるんです。「人間くささ」というかね。

 有働 漫才やコントなら見る側も笑う態勢がありますけど、舞台は共感がないと笑いが生まれない気がします。

 大地 そうですね。なので、その人物が大真面目にやっていることが自然に笑いにつながるよう、そこを常に目指しています。

2023.03.20(月)
文=大地 真央,有働 由美子