2022年も残すところ数えるばかり。気付けば髪の毛がモリモリしてしまって、年内に美容院の予約をして「髪をすいてもらおう」と思っているそこの貴方、ちょっと待った!

 今回は、「すく」にまつわるお話。一般的に髪の毛の量を減らすことを「すく」と呼びますが、実はオーダーする時には「すいてください」とは言わない方がイイです。それって、どういうこと?

 業界では、いわゆる「すきバサミ」のことを「セニング」と呼びます。セニングはギザギザの片刃によって髪を均等に「長い、短い、長い、短い」の状態にします。全体の長さを変えず、毛量を減らすことに特化しているのです。

 そのため、一般的には「毛量を減らす=すく」として浸透しましたが、美容師の場合は、このセニングを使うことを「すく」と表現することが多いです。

「すく」ことは美容師によって賛否両論?

 美容師は、育った環境によって教わってきた技術が違うので、カットの考え方も人それぞれです。カットの技術にはメリットとデメリットがあり、美容師さんが選んだハサミや切り方には、価値観が露骨に反映されています。

 特にセニングに関しては、美容師にとって賛否両論なツールです。

▼セニングで髪がバサバサになる

 長さのあるヘアスタイルをしている方の中には、髪の毛の表面に「モケモケした毛」が出てくることを悩んでいる方も多いと思います。髪を艶っぽくキレイに見せたいのに「モケモケの毛」があると、バサバサに見えてしまう。

 これは、長い毛の中に「短い毛」が混じっているからなのですが、この原因の一つがセニングにあります。

 

 髪の毛はウェーブがあっても、長い毛の方が真っ直ぐに落ちやすくなります。これは毛先が“重り”の役割をして、ウェーブを引っ張っているからです。

 しかしセニングで切ると、髪の毛には「短い毛」がたくさん作られ、短くなった毛には長さの“重り”が無くなり、ウェーブが出やすくなります。つまりセニングを使うと、「モケモケの毛」が増えて、結果的にバサバサに見えてしまうのです。

2022.12.23(金)
文=操作イトウ