自立した女性たちが、己の欲望の赴くまま、信念を貫き通した結果、自分たちの勤める会社に利益をもたらし、ことごとくビジネスを成功に導いて行く――そんな現代のシンデレラ・ストーリー(?)ともいうべきテレビドラマが、今を去ること24年前の1998年、フジテレビ系で放送され大ヒットした。

 主演は江角マキコさん。現在は芸能活動を引退しているが、元女優・江角さんの、紛れもない代表作がこのドラマ『ショムニ』だ。

「ショムニってそういう意味だったんだ~」

「モーニング」(講談社)連載の安田弘之原作の同名コミックを映像化したこの作品は、都内の中堅商社・満帆商事株式会社が舞台。同社内で“女子社員の墓場”、“会社の掃き溜め”と呼ばれる総務部庶務二課所属の坪井千夏ら6人のOLの活躍を描いたドラマで、’98年4月にスタートするやたちどころに高視聴率を獲得。

 同年早くも高島礼子主演で映画化もされ名実ともに大ヒット作となり、同年10月7日にはスペシャル第1弾が放送される。その約1年半後の2000年1月2日には新春ドラマスペシャルで放送されてまたしても人気に火がつき、同年4月から2年ぶりの第2シリーズへ。

 その後も2年サイクルで“復活”し、2002年7月には第3シリーズが始まり、翌2003年1月1日の元旦にスペシャル第3弾の『ショムニFOREVER』がオンエア。2013年には千夏役の江角さんと前川進社長役の升毅以外のキャストを一新して第4シリーズも登場した。

 ’98年当時はテレビ誌の記者を辞め、フリーライターとして活動していた筆者は、旬の女優を紹介するコラムを連載しており、その取材で『ショムニ』の制作発表記者会見に臨んだ。

 不勉強ながらこの時初めて『ショムニ』の存在を知ったが、他の記者にも同様のものがいたようで、 “ショムニってそういう意味だったんだ~”という声も聞こえた。はじめて聞いた人でも、なぜか気になるタイトルだったのだ。今にして思えば、この“なぜかタイトルに惹かれる”という事象も作品がヒットする際の予兆だった。

2022.10.28(金)
文=岩佐陽一