何度旅しても常に新しい発見があって、そのたびにもっともっと好きになってしまう楽園アイランド・沖縄。

 青い海と空、ゆるやかに流れる時間、個性的な食文化……。豊富な魅力のなかで、「やちむん(焼き物)」「琉球ガラス」「芭蕉布」をはじめとした、島々に息づく手仕事の美しさに出会う旅を楽しみにするリピーターもきっと多いはず。

 そこで今回は、伝統工芸の珠玉「紅型(びんがた)」をめぐる旅へとご案内しましょう。


最新リゾートで紅型の美しさを知る

 2020年7月にオープンした話題の最新リゾート、「星のや沖縄」。

 客室はすべてオーシャンフロントで、美しい海を間近に感じるロケーションが最高です。穏やかな波が打ち寄せる砂浜、冬でも楽しめる温水インフィニティプール、優雅なレストラン……、リゾート内は楽園ムードいっぱい。

 さらにここに滞在するゲストには、沖縄の伝統文化体験も多彩に用意されています。

 お部屋に入ると目を惹くのが、ベッドルームの壁一面を彩る鮮やかな紅型アート。

 紅型作家・宮城守男さんによる作品で、ここまで大胆かつ印象的に紅型をインテリアに取り入れたホテルはこれまでありませんでした。

 「ここは本当に海が美しい場所。窓の外には素晴らしい海が広がっていますから、紅型ではあえて海は描かず、島の大地が育んできた自然や文化、ストーリーを表現しました」と宮城さん。

 4タイプある客室は、それぞれ異なるデザインの紅型によって空間を華やかに演出。たとえば、沖縄言葉で太陽を意味する客室「ティーダ」には、夏の夜に一夜だけ咲く幻の花「サガリバナ」をモチーフにした紅型が。

 よーく見てみると、サガリバナの下に動物たちが集まって、宴を楽しんでいます。

 三線を弾くイヌ、その音色に合わせて歌うイソヒヨドリ、宮廷料理「東道盆(とぅんだーぶん)」を前に小躍りするヤギ……。眺めているだけで、なんだか微笑ましい気持ちになってきます。

 どの客室のベッドルームも、こんな遊び心あふれる作品で彩られているのです。

「心地よい風を感じるお部屋でくつろいでいただき、さらに私の描いた紅型からも沖縄の風を感じてもらえたら……。そんなことを意識してデザインしました。この壁紙から楽しい会話が生まれて、そしていい夢を見る一夜になったら、何よりうれしいですね」(宮城さん)

 夕暮れどきには、プールサイドのラウンジ「集いの館」で、優美な琉球舞踊を鑑賞できます。

 静寂に包まれたリゾートに響く三線の音色に合わせて、優雅な所作に見惚れる伝統舞踊。その踊り手がまとった絢爛な着物は、琉球王朝から伝わる紅型の美意識の象徴。その美しさを堪能するひとときは、まさに格別です。

 なお、ディナーはラグジュアリーなレストランで味わうオリジナル料理「琉球シチリアーナ」をぜひ味わいたいところですが、紅型をめぐる旅ならお部屋で楽しむ「ギャザリングサービス」もおすすめです。

 シェフが下ごしらえした和・洋・中の多彩なメニューをお部屋の冷蔵庫にお届け。好きなタイミングで、用意された調理家電を使ってアツアツをいただく、というユニークな試みとなっていて、紅型を眺めながら、星のや沖縄でしか体験できない、美味なる時間を満喫できます。

星のや沖縄

電話番号 0570-073-066(星のや総合予約)
宿泊料金 1室 132,000円~(1室2名利用)
アクセス 那覇空港から車で約60分
https://hoshinoya.com/okinawa/


守紅(もりびん)

宮城守男さんの活動や作品に出会えるショップなどの情報はこちらで。
https://www.morio-bingata.com/

取材・文=矢野詔次郎
撮影=橋本 篤