アーティストの着物インスパイア

 最後のセクションでは、世界のデザイナーが着物にインスパイアされて制作した作品が並んでいます。

 かたちは着物なのに、ハッと目を引くテキスタイルだったり、はたまた洋服に着物の要素を取り入れたりと、そのアウトプットはさまざま。

 エキシビションのクライマックスは、斉藤上太郎(グレーの羽織)、コシノジュンコ(紫のドレスに黒のコート)、ジョン・ガリアーノ(グリーンのガウン)の作品。

 中央のプリーツのコートとドレスは、三宅一生が今は亡き人でグラフィックデザイナーだった故田中一光が1981年に作ったポスター作品へのオマージュとして制作したもの。右の青い着物は、ヨウジヤマモトのデザイン。

 X JAPANのYOSHIKIや浴衣ブランド「Rumi Rock」、高橋理子など、日本のアーティストによる斬新な着物もいっぱい。

 人間国宝の森口邦彦(左)や、松原與七(中)、古澤万千子(右)など、現代の日本の巨匠の作品もこのセクションに展示されています。

 このセクションにはまた、60年代の黒澤映画で三船敏郎が着用した着物や「スター・ウォーズ」の映画のなかで使用された衣装も展示されています。フレディ・マーキュリーが所有していた着物や、ビョークがアルバム「ホモジェニック」のジャケット写真で纏ったアレクサンダー・マックイーンの手による作品も、このセクションに。

 左は三船敏郎が映画「椿三十郎」(1962年製作)のなかで纏ったもので、右の2点は映画スター・ウォーズ・シリーズで使われた衣装。

 アレクサンダー・マックイーンがビョークのアルバムジャケット用にデザインした着物。

 左はフレディ・マーキュリーが所有していた着物。右はマドンナが「Nothing Really Matters」のMVのなかで身に着けた衣装。着物もジャン=ポール・ゴルチエの手にかかると、こんなにセクシーに。

 現在、ミュージアムは閉鎖中ですが、キュレーター直々の説明付きで、誰もいないミュージアムを世界中から見学できるオンライン・ツアーは普段はない貴重な機会なので、ぜひチェックしてみてください。

安田和代(KRess Europe)

日本で編集プロダクション勤務の後、1995年からロンドン在住のライター編集者。日本の雑誌やウェブサイトを中心に、編集・執筆・翻訳・コーディネートに携わる。
●ロンドンでの小さなネタをつづったインスタグラム @gezkaz
●運営する編集プロダクションのウェブサイト http://www.kress-europe.com/

Column

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文・撮影=安田和代(KRess Europe)