国産のチーズが
ここ3~4年で大躍進

 チーズといえば、ヨーロッパ産のものが断然おいしいというのはひと昔前のこと。

 実は国産のチーズが海外のチーズコンクールで最高賞のグランプリを受賞するなど、ここ3~4年で大躍進を遂げているのです。

 国産チーズの今を知るイベント「食べて発見! チーズニッポン 国産チーズセミナー」で、注目のおいしい国産チーズを取材してきました。

 2000年以降は、設備の近代化が進むとともに世界的にも小さな生産者が増えています。国産チーズの生産者は300軒を超えているとのこと。

 国産チーズの中でも、特に注目を集める「ニセコチーズ工房」(北海道)、「アトリエ・ド・フロマージュ」(長野)についてレポートします。


JAL国際線ファーストクラスの
機内食として採用!

 「ニセコチーズ工房」(北海道)は、2005年にオープンした家族3人で営む小さな工房。製造のほとんどをオーナーの近藤裕志さんが行います。

 こちらの工房を代表するチーズが「二世古 椛【momiji】」。「JAPAN CHEESE AWARD 2018」で金賞を受賞し、JAL国際線ファーストクラスの機内食として採用されているミモレットタイプの1年熟成チーズです。

 「椛(もみじ)」という名前はニセコの美しい紅葉をイメージして名付けられたそう。

「濃厚ですが、クセがなく食べやすいチーズです。和食やごはんに合います。日本酒、コーヒーなどにも合い。すりおろして料理に入れたり、そのまま食べてもおいしく、オールマイティに使えるがチーズです。おにぎりに混ぜ込んでもおいしいんですよ」(近藤さん)

 チーズに合わせるのはワインと思いきや、日本酒やごはんにも合うというのは、国産チーズならではの新しい楽しみ方ですね。

「日本のチーズは日本の食材に合う新しい文化。うちでは酒粕を合わせたり、ほかの工房では梅酒でウォッシュしたチーズがあったりと、日本の食材を使った新しいチーズがこれから世界中に受け入れられていくと思います」(近藤さん)

 「二世古 椛【momiji】」は、通常のミモレットとは違い、インパクトがありつつ繊細でまろやかなお味です。

 チーズはカットの仕方で味わいが変わります。薄くスライスしたものと、四角くキューブ状にしたもの、2種類を食べ比べてみました。

スライスタイプと
キューブタイプの味覚の差

 まずはスライスタイプのものを試食。薄いので口に入れた瞬間にうまみが広がります。口どけがよく、最後はスッキリした後味。

 次にキューブ状にカットしたものを。口に入れた瞬間はスライスほどのインパクトはないのですが、噛みしめているうちに濃い味が出て来てきて、飲み込んだあとにも風味の余韻が残ります。味わいの変化が楽しめる食べ方です。

 同じチーズが切り方を変えただけで、こんなに違う味わいを楽しめるとは驚きです。チーズの奥深さを感じます。

 この違いは、ぜひお試しあれ!

ニセコチーズ工房

所在地 北海道虻田郡ニセコ町字曽我263番地
電話番号 0136-44-2188
メール info@niseko-cheese.co.jp
https://www.niseko-cheese.co.jp/

2019.05.19(日)
文・写真=梅森 妙
写真提供=CPA