「これを書いたことで人生に大きな幸せがやってきた作品です」――著者の吉本ばななさん自身がそう語る傑作『デッドエンドの思い出』が、日韓共同製作で映画化。釜山国際映画祭でのプレミア上映を経て、2019年2月に日本で公開される。

 新たな出会いに支えられて前へ進もうとする主人公・ユミを演じたのは、韓国のアイドルグループ、少女時代のスヨン。

 ユミを温かく見守り、同時に自分の過去を清算していこうとするカフェ兼ゲストハウスのオーナー・西山に、名古屋発エンターテイメントグループ、BOYS AND MENの田中俊介がつとめる。

 役づくりをめぐって、「とにかくめちゃくちゃディスカッションをした」という真摯な二人。スヨンさんへのインタビューをお届けします。

» 田中俊介さんのインタビューを見る(1/27公開)


30歳を前に「これが私の映画です」と
誇れるものに挑戦できました

――スヨンさんは子供の頃に日本で育ったそうですね。とても日本語がお上手で驚きました。

 ありがとうございます。子供の時から日本で日本語の作品に挑戦したいという希望がありました。歌手として活動するときに使う日本語と、俳優として使う日本語はちょっと違います。ずっと日本の俳優さんの演技に憧れていたので、ひとりで日本語の練習をしたりしてきました。

 今回演じるユミというキャラクターは韓国人の設定なので、そんなに言葉のプレッシャーはなかったんですが、すごく深い状況なので、感情とか、頭で考える思いも日本語になるべきなのかな? と悩みました。

 韓国人の旅行者の日本語として演じようと狙ったんですけれども、共演の田中くんと台本について、ものすごくたくさん話し合ったので、日本人の日本語に近くなりすぎちゃったかな(笑)。

――吉本ばななさんの原作小説は、お読みになりましたか?

 もちろんです。吉本ばななさんの作品は、韓国ではすごく有名なんです。私の世代もですが、上の世代の人たちが大好きな作家さんですし、私が子供の時から『キッチン』とか、いろんな作品が韓国でも映像化されていて、よく知っていました。

 実は最初のシナリオは、今回の監督さんが書いたものではなくて、ちょっと方向が違うんじゃないのかな? と思っていたんです。原作を読んで、その通りに表現したいと思いながら、作品作りをしていきました。

――チェ・ヒョンヨン監督はこれが長編デビュー作です。新人監督と仕事をするのは不安ではなかったですか? 

 いえ、チェ・ヒョンヨン監督に会って、「原作通りにいきたい」という意思を確認したので。監督が女性で、若い人でよかったという思いは確かにありました。今の若い人たちの悩みや、愛する人との別れに対する態度とかを、同年代ですごく理解してくれる人ですから。

 この作品はファンタジーとかアクションのように技術的な演出が必要な作品ではありません。女性だけの感性、女性の感情をよく知っている監督ならいいなと思っていたので、本当によかったです。

――スヨンさんはすでに大スターですが、映画出演にあたって小品を選んだのはどうしてですか?

 ありがとうございます。でも逆に、映画に出る機会が来た時に、あまり考えすぎなかったから、チャンスを掴むことができた。私はそういうタイプですね。テレビドラマだったら色々考えますが、映画の主演は初めて。

 30歳を前に、これが私の映画です、と誇れるものに挑戦できる、すごくいい機会だと思いました。歌手としてのキャリアはあるんですけど、役者としては、韓国でも日本でもまだまだだと思っていましたので。やっと日本で作品ができて嬉しいですし、これからも、いろんな作品に挑戦してみたいです。

2019.01.26(土)
構成=石津文子
撮影=佐藤 亘

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