朝ベランダに出して、夕方取り込むだけ
これだけで、下ごしらえ、完了

 干し野菜って、地味だとか、面倒くさそうと思っている人が多いのでは? そんなイメージを覆してくれるのが、料理道具屋・つきじ常陸屋の干し野菜研究室室長、廣田有希さん。

「干し野菜は、一人暮らしの働き女子にこそ、オススメです。朝、起きて今日は晴れそうだなと思ったら、野菜を切ってベランダに干す。仕事から夜帰ってきたら取り込んでお料理するだけ。水分が抜け、コクとうまみがアップしているので、調理時間も短く、調味料も少なくてすみます。干しておけば冷蔵や冷凍にして保存も効く。そして何よりおいしいんです!」

初心者にオススメは大根、きゅうり、キャベツ

 干すための道具はあるものを利用して。竹のざるや巻き簾、ケーキクーラーなどに並べて干してもいいし、葉モノなどは洗濯バサミで吊るしても。虫などが気になる人は専用の干しかごだと安心だ。干す場所は日あたりがよく風通しのよいところがベスト。

 初心者にオススメの野菜は、大根、きゅうり、キャベツだそう。

「特に、きゅうりは衝撃的なおいしさです。生のときの青臭さが抜けて、メイプルシロップの残り香のような香りがして、焼くと焦げ目がおいしく、中はジューシー。ズッキーニも顔負けの洗練食材になります。大根やナスも甘く実がしまって、食感が増します。キャベツやレタスなどの葉モノはしんなりするので、下ゆでせずとも巻けるようになり、ロールものが手軽にできる、というメリットも」

 炒め物や和え物なども、料理の腕が上がったように上手にできる。

「水分が少ないので、中華料理屋さんのような炒め物があっという間にできますし、和え物も食感がよく味がダレません。どちらも時間がたっても水っぽくならないので、お弁当などにも好都合です」

 本当にいいことだらけの干し野菜。廣田さんは今では、あえて生で食べようというもの以外はとにかく全て干すようになったとか。

「キャベツや大根もまるごと買って、干して冷凍しています。これなら一人暮らしでも腐らせることもありません。野菜を干すまでは料理が苦手だった私が、料理上手といわれるようになり、本を出すまでになったのだから、干し野菜の威力は本当にすごいんです!」

簡単、おいしい“干し野菜”を使ったレシピ

[大根のレシピ] ジューシーな甘さのアボカド大根
干し大根は甘くて、しっとり、オシャレな味

 

[きゅうりのレシピ] 香ばしいきゅうりとツナのソテー
ズッキーニのような香ばしく洗練された味わい

 
 

[キャベツのレシピ] 森のロールキャベツ
下茹でいらず。甘くてしんなり、そのまま巻ける!

 

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廣田有希
料理道具屋・つきじ常陸屋勤務。干し野菜研究室室長。フードコーディネーター、バイヤー。
茨城県鹿嶋での農業体験をきっかけに干し野菜にはまり、専用の干しかごを開発するかたわら、日々干し野菜のレシピを考案中。

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2012.04.23(月)
photographs:Tamon Matsuzono / Hanae Miura

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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