フレンチの最高峰を極めるガストロノミー店が数多くあるパリで、小さな変革!? ラグジュアリーの粋を追求する若きシェフが提案する“日々の美食テーブル”へ。厳選した4軒をご紹介。

» 第1回 魚料理レストランとして愛された往年の名店
» 第3回 隠れ家ホテルで味わうモダン料理
» 第4回 グリルと炭焼きで表現するスーパー素材料理

緻密で繊細なフレンチが
パリの食通たちを魅了する

◆Yoshinori(ヨシノリ)

ココナッツミルクのムースとパイナップルシャーベットにグレープフルーツのまろやかなソースが口の中でとろけるデザート。

 パリのガストロノミー界の一角を築いた日本人シェフの緻密で繊細なフレンチ。なかでも注目の的は、守江慶智が2017年秋に開いたオデオンの新店だ。

ムール貝を合わせたカリフラワーと仔牛のタルタル。シンプルに見えながら、口にした瞬間にすべて計算されたバランスの良さに驚く。

 2007年の渡仏以来、「オーベルジュ・デュ・キャンズ」他、シェフを務めた店は常に話題で、彼のレストランの開店を待ちわびていたパリの食通たちが連日詰めかける。

“守江流鱈のブランダード”。料理は70ユーロのコースより。

 旬の野菜と貝を加え、それらのわずかな風味の違いがフレッシュな季節感をもたらす“カリフラワーと仔牛のタルタル”、ハーブの香りを移したオリーブオイルと牛乳のエマルジョンソースの圧倒的な軽やかさが印象的な鱈のブランダードなど、そのみずみずしさが新たなファンを魅了する。

飄々と、だが徹底的に素材に向き合う守江慶智シェフ。
コクーンのように落ち着く地階の客席。

Yoshinori(ヨシノリ)
所在地 18 rue Grégoire de Tours 75006 Paris
電話番号 09-84-19-76-05
営業時間 12:00~14:00、19:00~21:45(L.O.)
定休日 日・月曜
http://www.yoshinori-paris.com/

Text=Chiyo Sagae
Photo=Atsushi Hashimoto