ベルギーとオランダでは、旅行者でも気軽に現地で自転車をレンタルし、サイクリングを楽しむことができます。素敵な街並み、美味しいレストラン、そしてゴッホゆかりのスポット……。たかせ藍沙さんが、この2つの国を気ままに散策する旅に出ました。

 第4回は、ベルギーの世界遺産都市ブルージュにあるレースセンターを訪れ、アントワープではユニークなサイクリングを体験します。

繊細で美しいボビンレース編みは
ベルギーが世界に誇る伝統手工芸

中世に使われていたボビンレース編みの道具。ピンとボビンを巧みに使ってレースを編み上げていく。「レースセンター」にて。

 世界遺産に登録されている美しい街、ブルージュについては前回も書いたけれど、今回もさらなる見どころをご紹介したい。

 ブルージュの中世の街並みには伝統工芸がよく似合う。ブルージュにある「レースセンター」を訪ねた。レースはベルギーを代表する伝統的手工芸品のひとつ。宮廷文化とともに発展し、輸出品としてベルギー経済に貢献してきた。

 その繊細な美しさは、ベルギー国内だけでなく、ヨーロッパ各地の王侯貴族や聖職者たちに愛され、その衣服を華やかに演出してきたのだ。とくに、小さなボビンを使って糸を編み上げていくボビンレースは16世紀にフランダース地方で広まり、ブルージュでは市民の生活の一部として受け継がれている。

 2014年9月に場所を移転してリニューアルオープンした「レースセンター」は、旧市街の北東側にある。1階では映像を巧みに使ったプレゼンテーションもあり、レースの歴史はもとより、美しいレース作品も数多く展示されている。ビデオや展示物には日本語訳も付いているので分かりやすい。

歴史を感じさせる古い糸やピン、レースの設計図も。ラベルも当時を偲ばせるデザイン。
左:繊細で美しいレースは王侯貴族や聖職者たちに愛された。
右:繊細なレースが劣化しないよう、展示室の照明は控えめ。

 2階では、月~土曜の14:00~17:00には実際のレース編みのデモンストレーションや、日によっては子供たちのレース編み教室を見学することもできる。訪ねた日には、館内で上映されるビデオに出演していた最高齢のレース職人、87歳のジェルメーヌさんの、目にも留まらぬ速さのレース編みも見せていただくことができた。

子供たちが熱心にレース編みを学んでいた。
左:こちらはベテランレース職人の皆さん。その手さばきの速さにびっくり!
右:最高齢87歳のレース職人ジェルメーヌさん。目にも留まらぬ速さでボビンを動かす。

 このレースセンターでは、年間500人もの人々がレース編み教室に通っているという。なんと、日本人の先生もいて日本語で学ぶこともできる。

Kantcentrum(レースセンター)
所在地 Balstraat 16, 8000 Brugge
電話番号 050-33-00-72
http://kantcentrum.eu/en/

レースショップ「アポステリーンチェ」。蔦が絡まる外壁が目印だ。

 同じ通りにはアンティークのレースも扱うレースショップ「アポステリーンチェ」があるので、お土産をほしい人はそちらへ。

't Apostelientje
(アポステリーンチェ)

所在地 Balstraat 11, 8000 Brugge
電話番号 050-33-78-60
http://www.apostelientje.be/

2017.09.26(火)
文・撮影=たかせ藍沙