日仏の結びつきを感じさせるこんな展示も!

二代目鈴木真一「茶道」1880年代、鶏卵紙、手彩色 (C)MNAAG. 

 パリのフランス国立ギメ東洋美術館は、アジア圏以外で最大規模の東洋美術コレクションを持つ。幕末から明治期の日本で撮影された写真も多数所蔵しており、その中から「茶」に関連する作品を選りすぐって並べたのが今展。

 茶屋のある風景や茶会の様子などを改めて写真で見ると、なんと独特な美の世界かと感じ入る。会場は京都御所近く、虎屋京都店に隣接のギャラリー。飲食スペースもあり、併せて利用したい。

『フランス国立ギメ東洋美術館・明治写真コレクション
「茶のある暮らし」KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭2016』

会場 虎屋 京都ギャラリー(京都・上京区)
会期 2016年4月23日(土)~5月22日(日)
料金 無料
電話番号 075-431-4736
URL https://www.toraya-group.co.jp/

東西の美術の長所を融合した藤田嗣治

 滑らかで透き通るような白い肌に、どこまでも繊細に伸びていく描線。20世紀を通して世界で最も著名だった日本人画家、藤田嗣治の作風は、他に似たもののないまったくのオリジナル。技法も素材もテーマも、東西の美術の長所を分け隔てなく、果敢に取り入れ融合させた結果だろう。

 初期の自画像から戦争画、晩年の宗教画まで。未公開作多数を含んだ約150点の展示で、画業の全貌を知ることができる。

『生誕130年記念 藤田嗣治展─東と西を結ぶ絵画─』
会場 名古屋市美術館(愛知・名古屋市)
会期 2016年4月29日(金・祝)~7月3日(日)
料金 一般1,400円(税込)ほか
電話番号 052-212-0001
URL http://www.art-museum.city.nagoya.jp/

山内宏泰(やまうち ひろやす)
ライター。著書に『写真のフクシュウ荒木経惟の言葉』(パイインターナショナル)、『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』 (星海社新書)など。美術、文学関連イベント主宰も多数。2016年5月17日(火)は銀座エノテカ・ミレで「文学ワイン会」開催。ゲストに作家・島本理生さんが登場。

Column

山内宏泰のこの1枚に会いたい!

美術、写真、文芸その他について執筆するライター、山内宏泰さんがナビゲート。いま見逃せない美術展をテーマに沿ってご紹介する、アートの“ななめ歩き”の提案です。

 

2016.05.14(土)
文=山内宏泰

CREA 2016年6月号
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この記事の掲載号

だらだらリラックスのすすめ。

CREA 2016年6月号

がんばりたくない人のための
だらだらリラックスのすすめ。

定価780円