60年代から一貫して先鋭的な写真表現を試み続ける森山大道。その彼の大規模な回顧展「森山大道 終わらない旅 北/南」が沖縄県立博物館・美術館で開催中だ。

 今回展示されるのは未発表の作品を含む920点で、森山の個展としては過去最大の規模だ。全体は5つのセクションで構成されている。64年のデビュー作『無言劇』のシリーズに始まり、『にっぽん劇場写真帖』や『ヨコスカ』などの初期の代表作が続く。さらに60年代末から70年代初めの『provoke』や『写真よさようなら』の作品群を通じて既成の写真の美学をラディカルに解体する試みを紹介。80年代以降の旺盛な活動の起点となった『光と影』、そして新宿、沖縄、北海道を題材にした旧作と近作をまとめて展示する最終章と、森山の半世紀に及ぶ作家活動を網羅する内容となっている。

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2014.02.26(水)
文=鈴木布美子