この記事の連載

SYOさん[物書き]

Q1:夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品は?

●『接客無双』鳩胸つるん/集英社

 シャッター街に店を構える町中華「あじまる」。腹ペコで行き倒れていたウェイター・ナスノスケを助けたことをきっかけに、店は変わり始める……。

「描かれ尽くされたギャグ×バトルマンガに、まだこんな“新しさ”があるなんて! 個性的すぎる接客のプロが並み居るクレーマーを撃退(もてなし)したり、ライバルたちと接客バトルを繰り広げたり……。ストーリーの構造や魅せ方は王道バトルマンガを丁寧に踏襲しているため、読みやすく独創的なアイデアが映えます」

●『ブレス』園山ゆきの/講談社

「メイクアップアーティストに憧れる男子高校生とモデルに憧れる女子高生が出合い、夢に向かって突き進む物語。とにかく真っすぐで熱い物語、キャラクターの心情描写、純然たる画力……。総合力が非常に高く、今後の展開が楽しみです」

●『半人前の恋人』川田大智/集英社

「第1話から名作の雰囲気漂う青春恋愛譚。美術部の男子高生と太鼓職人の女子高生が不器用ながら距離を縮めていく物語ですが、優しい懐かしさが心地いい」

Q2:人生で影響を受けたマンガは?

●『僕のヒーローアカデミア』堀越耕平/集英社

 無個性の少年デクこと緑谷出久が、憧れのヒーロー・オールマイトから彼の個性「ワン・フォー・オール」の後継者に指名され、最高のヒーローを目指して成長していく物語。

「もともと堀越先生の作品は大好きでしたが、第1話で主人公のデクくんが憧れの存在・オールマイトに『君はヒーローになれる』と言ってもらえたとき、自分自身も肯定された気がしました(該当のコマを使用したアートボードを仕事部屋に飾って、いつも勇気をもらっています!)。デクくんの思考や価値観は自分にすごく近く、一緒に成長してきた感があります」

Q3:夜ふかしマンガの楽しみ方は?

「子どもが寝静まったあと、アイスティーを用意し、ソファに足を投げ出して前の巻から振り返ったのち、最新巻に臨むのが至福です」

Q4:いま、特に注目している作品は?

●『SAKAMOTO DAYS』鈴木裕斗/集英社

「僕の知る限り、バトル演出がとんでもなく上手い最先端のアクションマンガ。舞台設定、戦闘方法、キャラクター、バトルの流れ、アングル含めた魅せ方――。映画的な目線で見ても『アクションの表現にはまだこんな先があるんだ!』と毎話驚かされます」

Q5:とにかく泣きたい夜におすすめの作品は?

●『ブランチライン』池辺葵/祥伝社

「泣くことは疲れる行為でもありますが、本作の場合はやわらかく包まれて気づいたら涙が流れていたような感覚。人と人が互いを思い合う優しさ、その煌めきが繊細に描かれています」

Q6:深夜ひとりでコッソリ読みたい作品は?

●『薫る花は凛と咲く』三香見サカ/講談社

「純愛であり、対話の重要性を描いた清らかな青春ドラマであり――。読んでいると没頭&浄化されまくり、キュンキュンしたりポロポロ泣いたりしてしまうのでひとりでこっそり読んでいます」

SYOさん
物書き

映画雑誌の編集などを経て独立。映画やドラマ、マンガ、アニメといったエンタメ系からライフスタイルまで幅広く執筆。トークイベントや映画情報番組などにも出演。

2024.01.27(土)
文=大嶋律子(Giraffe)