この記事の連載

吉岡里帆の「ポジティブを作る方法」は

――その他に、ご自身が実践しているポジティブになる方法を教えてください。

 たくさん寝ることと、前向きなキャラクターの作品を見ることです。『キューティ・ブロンド』もそうですが、前向きなことを当たり前だと思っているキャラクターを見ていると、こちらの気持ちも一緒になって触発させられちゃうんです(笑)。あとは、自分のダメなところをできるだけ肯定してあげる。そこが私の個性だし魅力なんだと思うようにしてあげると、ちょっと心がほぐれるかなと思います。

――ネガティブな作品を見ると、どうしてもそちらに引っ張られてしまって……。

 私はネガティブになれる人の方が、ポジティブを吸収する力もあると思います。ネガティブなものやセンシティブなものを見て没入できるのは感性が鋭い証拠だと思うし、そこの感情がちゃんと揺れ動く人は、その中から前向きなメッセージを感じ取ったり、誰かに伝えたりすることができるんじゃないかな。

 「落日」もまさにそういった要素のある作品で、痛みやトラウマを抱えた女性たちが成長していくお話ですが、どこか自分と近いマインドを持っているキャラクターが戦っている作品と出会えると、その人に共感できるし、無理に明るくなる必要がないことも分かってくると思います。

――自分と同じ境遇や悩みを抱えている人がいると「私だけじゃないんだ」と救われることもありますよね。

 私も繊細な人の感情を描いた作品やシリアスなものも大好きで「人間だからそうなっちゃうよね」っていう当たり前の感覚を持っている人にもすごく惹かれるので、何も感じない人より素敵だなと思います。あとは自己肯定感を高められるといいですよね。そういう繊細な自分を魅力的だなと思えたり、「そんな風に思える私って人間っぽいな」って思えたりすると強いですよ。

2023.10.01(日)
文=根津香菜子
撮影=杉山拓也
ヘアメイク=北原 果(KiKi inc.)
スタイリスト=安藤真由美(スーパーコンチネンタル)