この記事の連載

 1981年、尾山台に誕生したオーボンヴュータン。以来、実に40年以上にわたり、伝統的なフランス菓子を作りつづけています。

 唯一無二のおいしさと、ひとつひとつのお菓子が持つストーリー。79歳の今日も元気に厨房に立つ河田勝彦シェフが語るフランス伝統の焼き菓子のおいしさとは?

 【毎日オーボンヴュータン】でお会いしましょう!


#54 パン・デピス・トラディショナル(PAIN D’EPICE TRADITIONAL)

 パン・デピスとは、フランス語で「スパイス入りのパン」を意味するお菓子。

 小麦粉やライ麦粉、ハチミツを混ぜ合わせた生地に、スパイスをたっぷり加えて焼き上げます。オーボンヴュータンで使用しているスパイスは、シナモン、スターアニス、コリアンダー、クローブの4種類。口に入れると、スパイスの複雑で力強い香りとライ麦やハチミツのコクや甘みが押し寄せ、独特の余韻を残します。

 「ブルゴーニュ地方のディジョンでは、大きな四角に焼き、それを切り分けて販売していました。食べると口の中の水分が全部取られて、飲み物がないと辛いような乾いた感じが懐かしくて」と、河田シェフ。

 牛乳に浸しながら食べるのもおすすめだそうです。

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河田勝彦(かわた かつひこ)さん

1944年東京生まれ。まだ菓子職人がフランスに渡ることが少なかった時代に、8年間フランス各地で修業を積む。1981年に「オーボンヴュータン」を開店。古き良きフランスの伝統を貫き、骨太な菓子で日本のフランス菓子界を牽引し続ける存在だ。

AU BON VIEUX TEMP(オーボンヴュータン)

所在地 東京都世田谷区等々力2-1-3
電話番号 03-3703-8428
営業時間 10:00~17:00
定休日 火・水曜
https://aubonvieuxtemps.jp/

※ラインナップ、価格等は2022年取材当時のものです。

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2023.09.06(水)
文=瀬戸理恵子
撮影=合田昌弘