この記事の連載

 1981年、尾山台に誕生したオーボンヴュータン。以来、実に40年以上にわたり、伝統的なフランス菓子を作りつづけています。

 唯一無二のおいしさと、ひとつひとつのお菓子が持つストーリー。79歳の今日も元気に厨房に立つ河田勝彦シェフが語るフランス伝統の焼き菓子のおいしさとは?

 【毎日オーボンヴュータン】でお会いしましょう!


#37 ナヴェット・ドゥ・ミディ(NAVETTE DU MIDI)

 バターや小麦粉、砂糖の生地にオレンジフラワーウォーターを香らせた、マルセイユの銘菓。

 ガリッとした硬い食感と、真ん中に1本筋の入った小舟の形が特徴です。

 由来は、13世紀に木製のマリア像が小舟に乗って漂着したことだとか。「マルセイユの町のそこかしこで、このお菓子が山積みになって売られているのを見ました」と、河田シェフは懐かしそうに話します。

 オーボンヴュータンでは、オレンジフラワーウォーターとともにすりおろしたレモンの皮も加え、さわやかさをプラス。

 噛み応えのある素朴なビスキュイから、南仏らしい香りが広がります。

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河田勝彦(かわた かつひこ)さん

1944年東京生まれ。まだ菓子職人がフランスに渡ることが少なかった時代に、8年間フランス各地で修業を積む。1981年に「オーボンヴュータン」を開店。古き良きフランスの伝統を貫き、骨太な菓子で日本のフランス菓子界を牽引し続ける存在だ。

AU BON VIEUX TEMP(オーボンヴュータン)

所在地 東京都世田谷区等々力2-1-3
電話番号 03-3703-8428
営業時間 10:00~17:00
定休日 火・水曜
https://aubonvieuxtemps.jp/

※ラインナップ、価格等は2022年取材当時のものです。

次の話を読む【毎日オーボンヴュータン #38】 包み紙のようにパリパリの生地で リンゴとチョコを包む「パピヨット」

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2023.08.20(日)
文=瀬戸理恵子
撮影=合田昌弘