「一滴の血に反応し…」飼育放棄されていたトイプードルが“優秀警察犬”になるまで から続く

 大きくて力強いジャーマンシェパードが8割を占める日本の警察犬。でも小さな体と、愛らしいお顔の小型犬だって負けていない。勇敢でお利口さんなその姿に、最敬礼。

スコティッシュテリア コジロウ(4歳♂)|北海道警嘱託(苫小牧署)

 2021年、スコティッシュテリアのコジロウが嘱託警察犬審査会(臭気選別)に合格した時、同犬を飼っている知り合いは一様に驚いたという。

「“スコッチ”は活発で好奇心旺盛、愛嬌がありますが、我が強くて頑固な犬種なんです。私はコジロウが生後56日の頃から家庭犬としての躾を始め、その後、競技会の訓練、警察犬の訓練と段階を踏んできましたが、小型犬でここまで手こずり、頭を悩ませた犬は初めてですね。時間をかけて根気よく指導し、ここまで来ました」(公認訓練士・山道ゆかりさん)

 アナグマなどを追う狩猟犬として重用され、鼻の利きは抜群だという。

「しぶとく地面の臭いを嗅いで歩く習性があるので、そこは十分活かせるかな。臭気選別は例えば被疑者が犯行を否定した時にそれが事実か臭いで確認をする活動なんです。任期は今年の8月までで、まだ出動はありませんが、いつでも要請に応えられるようにしています」(同前)

 

「“スコッチ”の警察犬はコジロウだけ」

 飼い主の福澤勝美さん(北海道苫小牧市)が目を細める。

「“スコッチ”の警察犬はコジロウだけじゃないかと言われています。訓練に励み、今年も合格してほしいですね」

※警察犬には2種類あり、「直轄警察犬」は各都道府県警察が、「嘱託警察犬」は一般の人が飼育・訓練する犬を指します。「嘱託警察犬」の任期は1年で、毎年各都道府県警察が行う審査会に合格する必要があります。警察犬の9割を「嘱託警察犬」が占めています。この特集で紹介したのは「嘱託警察犬」として活躍する犬たちです。

撮影 深野未季

「ペットショップで売れ残っていた子が」北海道警はなぜ“パピヨン”を警察犬に採用したのか へ続く

2022.06.13(月)
文=「週刊文春」編集部
撮影=深野未季