〈あらすじ〉

羽田天(倉悠貴)は、フードデリバリーを1000回配達したら、引退したアイドルへの想いを断ち切ると決意する。赤羽圭(青木柚)は片思いをしている高校生。大森慎吾(清水尋也)はSNSで5000人と繋がっているが、本当の友達はいない。恋人と歩いていると、昔付き合っていた桜庭心(三浦透子)の路上ライブに遭遇するが、心はシンガーソングライターの夢に挫折しかけていた。

〈解説〉

駆け出しのカメラマン、引きこもり、未来が見えない中学生など、それぞれにもがく13人の若者の日常が東京で交差する群像劇。“スパゲティコード”とは、“解読困難なほど複雑に絡み合ったプログラミングコード”の意。映像クリエイター、丸山健志の長編初監督作。96分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★☆まだ何者でもない若者達。手探りの日々。それぞれの夢と屈託が思いのほか自然に描かれている。屋上から見る東京。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★☆☆☆アルトマンの『ショート・カッツ』を意識したようだが、ややむず痒い。小綺麗に整えるより、ざらりとした感触が欲しい。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★★心の埃を払うと小さく明かりが見つかるような、素直に誰かに感謝したくなる、命の危うさも含め気持ち良く楽しめた。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★☆☆きらめく都市空間の中で編まれる人物相関の「交通」。ウォン・カーウァイの『恋する惑星』や『天使の涙』を彷彿させる。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★★東京を背景に登場人物全てに光が当たる万華鏡の如く。観る者への合わせ鏡的要素も。倉、青木、三浦透子の存在は必見。

『スパゲティコード・ラブ』(『スパゲティコード・ラブ』製作委員会)
11月26日(金)より渋谷ホワイトシネクイントほか全国順次ロードショー
https://happinet-phantom.com/spaghetticodelove/

2021.12.13(月)
文=「週刊文春」編集部