ファッション雑誌の黄金期を飾った名フォトグラファーたち

 そして今回の展覧会のもうひとつの特徴は、ファッション雑誌を飾った数々の写真が展示されていることです。

 アメリカのファッション雑誌全盛期には、アーヴィング・ペンやリチャード・アヴェドンらのフォトグラファーたちの写真がページを飾りました。

 見逃せないのが、有名なリチャード・アヴェドンによる写真のドレス。これはハーパーズバザー誌に掲載された作品で、モデルのドヴィーマを象と組みあわせた、後世に残るファッション写真です。

ディオールの伝統を受け継いだガリアーノ、シモンズ、キウリ

 次のコーナーでは、「ディオール・レガシー」として、ムッシュ・ディオールの後を継いだデザイナーたちの作品を時代ごとに展示しています。

 クリスチャン・ディオールが急死したあと、主任デザイナーとして、ブランドを継いだのが、当時ディオールのもとで才能を発揮していた若干21歳のイヴ・サンローランでした。

 さらにマルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、マリア・グラツィア・キウリら、歴代のデザイナーたちの作品が並べられていて、ディオールの伝統を受け継ぎながら、デザイナーごとの個性の違いが目を引きます。

 ゴージャスでドラマチックなジョン・ガリアーノ、アーティスティックなラフ・シモンズ、そしてエッジ−と繊細さが共存するマリア・グラツィア・キウリの作品を見比べてみると、興味深いです。

文=黒部エリ