第二次ブームの波が押し寄せている

受講者のほとんどはイタリア人だが、最近は外国人受講者も急増している

 こうして多くの料理男子を世に送り出した(少々オーバーな物言いですが……)「ア・タヴォロ・コン・ロ・シェフ」に、第二次ブームの波が押し寄せている。以前と異なるのはプロ向けコースに人気が集まっていること。その内容も、イタリア料理、パティシエ、ピッツァ、バーマン、ジェラート、ハサップ(食品製造衛生管理)、フードコスト、さらには特定したテーマを集中的に学ぶコースと、創立当初に比べてかなり多種多様になった。それに伴い、プロ向けコース専門の校舎があらたに設けられ、同校は一気に規模を拡大した。

 だが、その背景にあるのは、実は深刻なイタリアの不況なのだ。「夫のリストラに備えて」と語るある女性はバール開業に向けて夫婦でバーマンコースを取ったという。節約して貯めた資金と両親からの援助で新たなる人生の一歩を踏み出すことにしたそうだ。外食産業は他の専門職よりも就職先がみつけやすいという理由で同校のプロコースに通う人も少なくない(実際、卒業後の就職率は悪くないらしい)。仕事がきつい飲食店で働くのはもっぱら出稼ぎ外国人だったのは’90年代半ばまでのことで、EU諸国の中で大卒者の就職率が最も低いといわれるイタリアでは大学離れが進み、若いうちに専門職を身につける方が得策と考える若者が増えているのである。

バーマンコースは女性にも人気がある。夫婦やカップルで通うケースも

A Tavola Con Lo Chef (Office)
住所 Via dei Gracchi 60 Roma
電話番号 06-3222096
URL www.atavolaconlochef.it

村本幸枝(むらもとゆきえ)
イタリアでは撮影コーディネートを、日本では東京・中央区で日伊文化交流サロン「アッティコ」を主宰。在伊歴20年ちょっと。現在、年の半分ずつをイタリアと日本で過ごしている

日伊文化交流サロン「アッティコ」:www.attico.net

Column

気になる世界の街角から

世界の12都市から、何が旬で何が起きているかをリポートするこのコーナー。
その街に今すぐ飛んで行きたくなる情報ばかりです!

text&photographs:Yukie Muramoto