ゴミの90%をリサイクル、脱プラへの挑戦は続く

 ラグジュアリーであればあるほど、大量のゴミが出るのがこれまでの常識だった。

 十分すぎる客室のアメニティ、使い捨てのペットボトル……。ソネバではこういった従来のやり方に警鐘を鳴らし、ゴミ問題にも果敢に取り組んできた。

 現在、ソネバでは排出されるゴミの90パーセントをリサイクル。発泡スチロールは粉砕しセメントと混ぜて建材に、木の枝は炭に、生ゴミは良質のバクテリアを加えて肥料に。

 そして2008年、世界のリゾートで初めてペットボトル禁止を宣言する大胆な策に打って出た。

 ミネラルウォーターの工場をリゾート内に設立。水は採取後、殺菌、ミネラル添加、浄水のサイクルを経て、ガラス瓶に詰められゲストのもとへ。

 このシステムを作り上げたことで、ペットボトル入りの水が不要となり、年間で約20%の支出を節約することができた。ペットボトルに換算すると半年でおよそ8万3,000本になるというから驚きだ。

 このソネバのプロジェクトはこれまで多くの団体から表彰を受けてきた。モルディブの他のリゾートにもソネバに続けと、独自にガラス瓶入りの水を提供するところも出てきている。

 「2010年代は、これを近隣の島に伝えることが次の目標でした。ソネバは彼らと支え合いながらリゾートを運営しています。

 リゾートで使う食料の8割を地元でまかなっていることからもそれは明らかです。だからこそ、みんなで一緒にモルディブの環境保全に取り組む必要があったのです」

 だが、地元の島々には潤沢な資金はなく、施設への投資は不可能である。

 「ソネバにはペットボトルをやめたことによる余剰資金や、私たちが設立したソネバ基金があります。それを利用し、リサイクル活動に賛同してくれる島を募ったところ、3つの島が名乗りを上げました。

 2020年にはリゾート近隣の島にソネバ式のエコセンターを設立。

 これまで島内では、すべてのゴミは一切合切、野焼きで処分されていましたが、プラスチックは再利用し、ミネラルウォーター工場を作ることで、ゴミ(Waste)が富(Wealth)に生まれ変わる体験を分かち合うことができた。これは大きな喜びです」

Text=Yoriko Kuroda
Edit=Shojiro Yano