「ダークスカイ・リザーブ」のひとつエクスムア国立公園

 「星空保護区(ダークスカイ・プレイス)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

 国際ダークスカイ協会が、光害を抑え暗く美しい夜空を保護している地域に与える認定で、規模や特性に応じていくつかのカテゴリーが設定されています。

 なかでも700平方キロメートル以上の広大なエリアを対象とした「ダークスカイ・リザーブ」に認定されているのは、世界でもわずか16ヵ所のみ。

 その「ダークスカイ・リザーブ」に欧州で最初に認定された場所のひとつが、イングランド南西部に位置するエクスモア国立公園です。

 都市部では晴れた日でも肉眼で30〜40個の星が見えるか見えないか、というところですが、エクスムア国立公園で見える星の数は、なんと1000個! まさに満天の星を満喫できる場所なのです。

 そんな都市の生活では決して拝むことのできない星空を、心ゆくまで楽しむためのイベントが、4年前から毎年10月に開催されている「ダークスカイズ・フェスティバル」です。

 1年目は参加者わずか100人で始まったこのイベントですが、年々客足が伸び、昨年は3000人もの天体ファンが国内外から集いました。

 なにかと例年とは違う昨今ですが、新型コロナウイルスの感染対策をしっかり講じた上で、今年も10月16日からフェスティバルが開催中。ガイド付きナイトウォークや天体セミナー、星空鑑賞イベントなど、夜空を愛でる催しが人気を博しています。

 今年は初の試みとしてオンラインイベントも開催。遠方からも参加できるのも魅力です。

 フェスティバル時はもちろん、年間を通じて、天文や星空保護に関するワークショップを開催している、天文学者のジョー・リチャードソンさんに、エクスムア国立公園の星空の魅力と、星空保護の意義についてうかがいました。

「晴れた日には、肉眼で銀河が見えるほどのみごとな星空はもちろんなのですが、エクスムア国立公園は公園全体がとても魅力的なのです。たとえば公園に住む野生動物たち……3000頭ものアカシカやエクスムア・ポニーと呼ばれる野生の小馬も500頭ほどいて、星空鑑賞イベントをしているときに、これらの野生動物とひょっこり出合うことがあります」

文・撮影=安田和代(KRess Europe)