刺激を受ける舞台人たちとの交流

――では、演技をすることに目覚めたとか、楽しくなってきたという作品は?

 09年に「真心一座 身も心も 流れ姉妹たつことかつこ~獣たちの夜~」というお芝居をやらせてもらったんですが、小劇場界のブッ飛んだ方々と一緒にお仕事させてもらって、楽しいなと。成長といえるか分からないですけど、ちょっとしたことがいろいろと分かるようになってきたんです。ただその一方で、慣れてきたからこそ、ちょっとずつ分かりにくくなることもあって、それが同時進行でスライドする感覚が楽しくなってきたんです。これって、芝居の楽しみみたいなものだと思うんです。あと、この舞台を見た業界の方から舞台のオファーをいただくことが多くなって、そこで「必要とされているんだ」と思う自信と責任感みたいなものも出てきました。

――昨年末から今年にかけて、いのうえひでのりさん演出、古田新太さん主演によるロックミュージカル「ロッキー・ホラー・ショー」に出演されましたが、ここでも新しい中村さんを見つけられたのではないでしょうか?

 まだ、こないだのことなので、正確に自己分析はできないですが、むちゃくちゃ楽しかったことだけは覚えています。あの作品よりスゴいことは日常ではまずないです(笑)。あ、でも、古田さんとよくお酒を飲ませてもらっていたんですが、古田さんが若い頃からバッタやクモやムカデといった虫を食べてきて、周りの人を驚かせてきたという話になって、「よく噛めば、何でも食べられる」という名言が出てきたんです。日常がもう作品世界みたいですよね。演劇の方って、これ楽しいじゃんと思ったら、リスクを恐れず、やっちゃいけないことをやろうとする人たちだと思うんです(笑)。だから、常に刺激を受けていますし、正直楽しかったです。

――現在は小嶋陽菜さんと共演の「メグたんって魔法つかえるの?」に出演されていますが、TVドラマのお仕事はいかがですか?

 時間があまりなく、瞬間で結果を出さないといけないので、怖いですけれど、好きです。「メグたん~」はセットも演劇のようなワンシチュエーションですし、ムロ(ツヨシ)さんや演劇畑の方たちの共演なので、楽しくやらせてもらってます。「バンデラスと憂鬱な珈琲」というお芝居以来、お世話になっている福田(雄一)さんに声をかけていただいて光栄です。あまり友達がいないので、反響はよく分からないんですけど(笑)、福田さんの作品が好きな若手(俳優)は「いいなぁ」と言ってくるので、「そうだろ?」と返しています(笑)。

2012.10.05(金)
text:Hibiki Kurei
phorographs:Hanae Miura