森の動物となる!?
ここにしかない地球体験

●FreeSpirit Spheres
(フリー・スピリット・スフィアーズ)

小さな橋を渡り、スパイラル状の階段で辿り着く「メロディ」。音楽制作のための場としても活用。

 空を覆い尽くすほど密集した温帯雨林の合間に、忽然と現れる球体。

 大都会バンクーバーからフェリーで2時間ほどの島だが、映画のセットに紛れ込んだかと錯覚してしまう。

2機目に制作された「エリン」。州内に自生するマツ科の常緑針葉樹シトカ・スプルース材を使用。

 学で生物学を学び、土木工学のエンジニアになったトム・チャドレー氏。

 ユニークなツリーハウスをなぜ思いついたか尋ねると、「説明しづらいんだけど……。ある日突然、スフィア(球体)のイメージが頭に浮かんで離れなかったんだ。どうしたら実現できるか、毎晩考えたよ。朝、目が覚めて森にある木の実などの形態を模倣する、つまり自然の法則にならった形を思いついたんだ」と答えた。

多少の揺れはあるものの、椅子やテーブルもありスペースは思ったよりゆとりが。宇宙船の中にいるよう。

 2006年から制作を始め、今年までに6機が完成。杉やメープルなどの大木にロープで安定させ、直径約3メートル、重さ約1トンの球体を吊り下げる。

 室内は余裕ある広さで、テーブルも整い快適だ。ベッドは電動でリフトさせ、壁にはヒーターを完備するあたりはエンジニアの成せる技といったところ。

左:「ルナ」の大きな丸窓からの眺め。夜には動物の鳴き声や通り過ぎゆく足音が聞こえる。茶色の屋根はトイレスペースで、各棟の階下に完備。
右:近隣にレストランもあるが、食料を買い込んでバーベキューをするのも魅力的だ。

 プリミティブな自然が残され、海も近く、敷地内には湖もある。年間を通じて気候が安定していることもこの場所を選んだ理由とか。

 先進的なツリーハウスだが、森林を活用しながら自然を保護する活動だとトムは言う。

3室のシャワールームを擁する建物。テラスもあり、朝食やティータイムを楽しむゲストも。

「ブリティッシュ・コロンビア州は木材などの天然資源を輸出して経済が成り立っている。けれど切り倒して売るだけが資源じゃない。自然を荒らすことなく、森林のより良い活用法をこのスフィアで伝えているんだ」

水回りは清潔で快適。

 ここでツリーハウスを営業できるのは3機まで。どれも年間300日以上、予約が入るが、リクエストはその6倍にも上る。

 グランピングを越えて、地球の空間も地上も感じられる滞在。そんな超レアな体験を、ぜひ!

敷地内の工房でスフィアを制作するチャドレー氏。近隣の森で10機のスフィアを設けたリゾートを計画中。

FreeSpirit Spheres
(フリー・スピリット・スフィアーズ)

所在地 420 Horne Lake Road, Qualicum Beach, British Columbia
電話番号 250-757-9445
棟数 3棟
料金 299カナダドル~(1棟2名まで、エリンは3名まで)
※マフィンやフルーツなど軽食は用意されている。
http://freespiritspheres.com/

Text=Mamiko Kume
Photo=Takashi Shimizu
Coordination=Yasuyo Hibino(fish*co.)
Cooperation=Destination Canada

この記事の掲載号

幸せのカナダ

CREA Traveller 2018年秋号


幸せのカナダ

定価1,110円 (税込)

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