幻の歌舞劇を復刻した花形スター達

 その原動力となったのが、当時の花形スター、イブ・ラカ(現在、73歳!)をはじめ、バリ舞踊界のマエストロ5名によって結成されたインタンブダヤヌグリ財団。2011年6月には特別公演で、この幻の歌舞劇が復刻され、さらに今年4月からは、若き後継者たちにその魂を継承するため、毎週月曜にプリアタン王宮での定期公演もスタートしています。

イ・グスティ・アユ・ラカ・ラスミ(右)と、バリ島最高齢舞踊家イダ・バグース・ブランシンガ(左)

 今やバリ島の文化を構成する要素として、すっかり有名になっている古典舞踊ですが、観光地化が進み、めざましい経済発展の途上にあるインドネシア社会においては、古くから受け継がれてきた姿から変容をきたしてしまっているのも事実。

 そんな時代だからこそ、今回の復刻にあたっては、守るべき伝統、本来あるべき舞踊芸術の形を何よりも大切にしています。本質的なあり方を取り戻し、そして舞踊にこめられた精神を保ちながら、次なる飛躍を探求するジャンゲール・プリアタン歌舞劇。次世代のバリ舞踊家たちにとって大きな刺激となるとともに、私たち外国人にとっても、素晴らしい“本物”のバリ舞踊を観賞できる貴重な場となっています。

2011年6月に行われたジャンゲール・プリアタン復刻特別公演

Janger Peliatan (ジャンゲールプリアタン)
住所 Ancak saji puri agung peliatan, Jln Cok Gd Rai, Peliatan, Ubud, Gianyar, Bali
公演日時 毎週月曜日 19:30~
公演場所 プリアタン王宮にて開催
観賞料 100000インドネシアルピア

インタン・ブダヤ・ヌグリ財団
住所 Jl.Plandelan No.1, Peliatan, Ubud - Bali
intanbudayanegeri@yahoo.com

吉田陽子(よしだようこ)
インドネシア・バリ島在住。バリ島およびインドネシア国内で発行する日本語情報誌アピ・マガジン編集長。大学在学中からグラフィックデザインを勉強し、日本の出版界で働いたのち渡バリ。現在はバリ古典舞踊プログラム『Tetamian(テタミアン)』のマーケティング&PRも兼ね、日本とインドネシア間の友好イベントのPR、サポート、メディアパートナーも行う。

 

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text:Yoko Yoshida
photographs:Doddy Obenk