秘められた数多くの仕掛けを
デザインディレクターに聞く!

ロゴの「W」をどこに配置するかも熟考を重ねた。背景の浦東のスカイラインがロゴを引き立てる。

 感度の高いツーリストに高い支持を集めるWホテル。「W上海-外灘」が2017年6月30日、誕生した。

 ロケーションは、黄浦江(ホワンプーチアン)沿い、外灘(バンド)から川が大きく東へ曲がった先の虹口(ホンコー)。目下、開発が進むエリアで、上海のランドマークである浦東(プートン)の東方テレビ搭や森ビルを真正面に望む唯一の場所でもある。

 Wホテルはストーリーを大切にするブランド。彼らのいうパッションポイント「デザイン」「ミュージック」「ファッション」「フューエル(食)」が重要ファクターとなっている。

 プロジェクトがスタートすると、まずは徹底的にその土地のことを調べ上げることから始まる。その土地にまつわるモチーフは象徴的にデザインされ、館内のいたるところに、まるで隠れキャラのようにちりばめられている。ゲストはそれを見つけ出すのも滞在の楽しみだ。

ニューヨークのビストロをイメージした「ザ・キッチン」。奥まったブース席の壁には若手クリエイターによる、虹口の歴史が描かれている。
いくつものステーションに分かれ、フードコートのように好みの料理を探して回れる。

 W上海-外灘のデザイン・ディレクションに関わったサトコ・クノップさんに、今回のプロジェクトについて話をうかがった。

「上海には、まるでメルティングポットのようにいろんな要素が混在しています。1920~30年代のフランス租界もあれば、伝統的な中国スタイルもあり、外灘で華やかなドレスを身にまといパーティーに出かける人がいる一方で、路地裏にはパジャマ姿のおじいさんも歩いている。その対比が面白い。そこで、“キャプティベイティング・コントラスト(魅惑的な対比)”がW上海-外灘のコンセプトになりました。

 虹口は今、開発の真っ只中にあります。コンテンポラリーなW上海-外灘の正面には壊れかけのような古びた建物。ゲストは『あれ?』と思うかもしれないけれど、そのギャップも面白いと思って」

1~4階までの吹き抜けに吊るされたネオン管のオブジェ。見上げるとガラス窓から空が見えるあたりも、上海の路地裏をイメージしている。

 42階建ての高層ビルのエントランスに入ると、4階までの吹き抜けに吊るされたネオン管のオブジェに目を奪われる。

 これは、上海の路地裏で見かける洗濯物を窓から干す風景からインスパイアされたもの。ネオン管にはドレスのイラストや、上海のメインストリート名の漢字などが躍っている。これは、館内で最も大きなアートピースだ。

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文・撮影=古関千恵子