日本神話が生まれた「日向国」で
二夜限りの特別ディナー
九州の東側に位置することから、この地に暮らす人々は、水平線から昇る陽光で目を覚ます。日本最古の歴史書に「日向(ひむか)」との名を刻み、多くの国造り神話が伝わる地。
日本各地でプレミアムな野外レストランを開催するイベント「DINING OUT(ダイニング アウト)」が、記念すべき第10回目の舞台として選んだのがここ、宮崎だった。
「DINING OUT」とは、「日本に眠る愉しみをもっと。」をコンセプトに、日本のどこかで年に数日間だけオープンする特別な野外レストラン。2012年10月、新潟県佐渡での開催を皮切りに、沖縄県八重山、徳島県祖谷、静岡県日本平などで開催されてきた。
ここで提供されるのは、一流シェフのスペシャリテの数々。シェフの仕事はイベント当日に現地に出かけて調理を行うだけではない。事前に現地にはいり、シェフ自ら土地を巡って生産者と話をし、食材を吟味、調理法を試行するところからはじまる。
今回の「DINING OUT」で腕をふるったのは、東京・神宮前「Florilège(フロリレージュ)」の川手寛康シェフ。「ASIA'S 50 BEST RESTAURANTS(アジアのベスト50レストラン)2017」で14位に入賞し、世界からも注目されているシェフだ。
「食べるということは、その土地のパワーをもらうということ。宮崎の食材は、本当に力強い」と川手シェフは言う。
九州の太平洋側に開け、南北に延びる海岸線は約400キロにもおよぶ。県域の約70%は山地だ。山間から海に向かって流れる幾本もの川が、大地を潤す水脈となる。全国でもトップクラスの快晴率は、それだけ太陽の大いなる恵みを享受しているということだ。
つまり、この地で育った食材には、大自然の圧倒的なエネルギーが存分に充填されている。宮崎に暮らす人々の日常の食卓を彩るのは、こんなにもパワフルな食材たちなのだ。
2017年5月に開催された「DINING OUT MIYAZAKI with LEXUS」は、川手シェフの言う食材の力強さだけでなく、宮崎のいまだ眠れる愉しみを発見する一夜となった。
まずは、その舞台である。
2017.07.02(日)
文・撮影=CREA WEB編集室