想像以上の反響だった「コスメ」役

――この時期は舞台での活動が中心だったわけですが、映画好きの小関さんとしての心境はどうだったのでしょうか?

 歌もダンスも、芝居も好きなので、やっぱりミュージカルをしているときは楽しかったですし、その時期は自分の技量を上げるためにも、自分自身を見つけるためにも、とにかく目の前にある役と戦っていました。だから、映像の仕事をやりたいとか、TVに出たいとかいう気持ちはあまりなかったですね。でも、舞台人になったとしても、映像も出来る人になりたいな、という願望がだんだんと生まれてきました。

――14年放送の「ビター・ブラッド」は、8年ぶりの連続ドラマ出演作になったわけですが、映像の現場はいかがでしたか?

 「天てれ」を観ていた人にとって、しばらく見ないあいだに大きくなっていたという印象が強かったようですが、そのあいだに僕は舞台で力を付けていた、という感覚がありました。小学5年生のときに出たドラマ「ダンドリ」でお母さん役だった戸田恵子さんが、「ビター・ブラッド」でご一緒した高橋克実さんに「息子をよろしくね」と言ってくださったことも嬉しかったし、久しぶりの映像のお仕事は楽しかったです。

――15年には初主演映画『あしたになれば。』が公開されました。さらに性同一性障害の「コスメ」役を演じ、黒島結菜さんと再共演されたドラマ「ごめんね青春!」が放送されましたが、反応が大きかったと思います。

 すでに舞台での主演は経験しているので、『あしたになれば。』ではあまり主演としてのプレッシャーのようなものは感じませんでした。だから、ひとつの役を演じるということに集中できました。「ごめんね青春!」は役柄的に批判されることを覚悟して演じたのですが、まったくありませんでした。それに、検索ワードで「小関裕太 性同一性障害」と出てくるぐらい反響がありましたし、街中で出会ったおばさま方に「コスメ、頑張ってね!」と、温かく声をかけてもらいました。いろんな方の目に留まって、いろんな意見をもらえるのは嬉しいです。批判的な意見も、今の僕にないものを見つけるヒントになるから大歓迎だと思っています。

2016.03.11(金)
文=くれい響
撮影=橋本 篤