ミルフィーユ状のカラフルな餅菓子

伝統的なニョニャ菓子。青い花びらやパンダンの葉など食材を使って色づけします。これはババ・チャーリー・ニョニャ・ケーキのもの。

 たとえばニョニャ料理には、スパイスやココナッツなどのマレーならではの食材に、シイタケやタケノコなどの中華の食材を組み合わせ、中華料理のテクニックを駆使したものも。カラフルな餅菓子ひとつとっても、一枚ずつ天然の食材で染めた餅をミルフィーユ状に重ねていきます。たとえ、ひと口の料理にも、手間と時間を惜しみなくかけます。

ワー・アイク・シューメーカーでは、制作風景やアンティークのビーズ刺繍の靴、プラナカンのセピア写真なども、見学できます。
ジェイ・マニック。オーナーのジョイスさんも、プラナカンの血を引いています。

 そして、美しいビーズ刺繍の靴。1ミリ足らずのビーズでモチーフや絵柄を縫い付け、ビーズのサイズが小さいほど色のグラデーションなどの表現の幅が広がり、技術の難度も上がります。一足を作成するのに2~3カ月かかることもあるとか。

左:スパ・ヴィレッジ・マラッカではプラナカン文化をベースにしたメニューを用意。プレ・トリートメントにはニョニャの花嫁が行う、髪を清める儀式が。
右:ザ・マジェスティック・マラッカのラウンジではアフタヌーンティーを、ぜひ。ニョニャ菓子もいただけます。

 見た目に美しく美味しい料理と、手先の器用さと忍耐の強さを示し、美しく自分を飾る刺繍の腕が女家族に認められて初めて、人前に出られます。その際、お嫁さん探しの親たちの視線は、娘の足元の靴から順に上がっていったとか。今では、そんな風習はないとは言っていましたが。

2016.02.27(土)
文・撮影=古関千恵子