店主のお気に入りは「フィリーズチーズステーキサンド」

店主のイチオシ「フィリーズチーズステーキサンド」(1,890円)。

 アメリカではポピュラーだが、日本ではまだまだ知られていないメニューがこちらの「フィリーズチーズステーキサンド」。鉄板で焼いたUSのリブロースの薄切りの脂の旨みと、じっくり火を入れた玉ネギの甘みが合わさり、その上に溶けたチェダーチーズが重なる。バターを塗って、鉄板で香ばしく焼き上げたパンでサンドすれば、口の中でじゅわっ、とろ~り。旨みが幾重にも重なって、うーん、こたえられない。

 また「PO' BOY(ポーボーイ、語源はプアボーイ)」は、ニューオリンズの貧しい労働者階級が発祥と言われる、サンドイッチの名品だ。安上がりでボリューム感をと、フライをはさんだ。南部では海老のポーボーイのほか、牡蠣もよく食べられるとか。DAY&NIGHTスタイルは、小麦粉をつけてカリッとフライにした小海老をレタス、トマトの上にたっぷり盛り、紫キャベツのコールスローとゆで卵を刻んで加えた手作りのタルタルソースをたっぷりかけてサンドに。フライもののコクをぱりっと食べさせる、絶妙のバランス感覚が見事。

ワンランク上の美味、「シュリンプPO' BOY」(1,640円)。

 こんな素敵な店が忽然と!? いや、そんなわけはない。オーナーの守口駿介さんは、実は、1キロほど離れた、白金にある「バーガーマニア」を8年前に立ち上げ、ハンバーガーブームを仕掛けた張本人。

 ニューヨーク・カルチャーが好きで、ハンバーガーショップで働いたところ、バンズの切り方、パテの厚み、野菜の重ね方一つで味わいが大きく変わる、シンプルゆえの奥深さに魅せられ、研究を重ねた末に独立を果たした。無事に軌道にのせたあとに、なかなか満足いく品がない日本のサンドイッチ・マーケットに目をつけた。

 年1回は訪れるNYでもさまざまな店をリサーチし、ハンバーガーで培った美味しさの組み立て方を応用。試行錯誤のうえ、満を持して、昨年12月のオープンに至った。

2016.02.15(月)
文・撮影=小松宏子