バターが足りなければ塗ればいいじゃない!

 しかし、我々は愚かだった。己の消化力を信じられないあまりに「ヒレ」を頼んでしまったのだ。確かに、ヒレは胃弱者の強い味方。しかし、残りをテイクアウトして明朝ステーキチャーハン(胃弱者の定番)にすることを考えたら、ここはTボーンでもよかったのでは? 大慌てで注文をひっくり返そうとするも、間に合わず……。

 しかし、ステーキ前にぴったりの濃厚なビスクを飲み干し、やぎのように大量のサラダを平らげ、ポテチもたくさん食べてしまったので、ヒレもまた正解。

こちらもおすすめ。ロブスターのビスク。濃厚スープはステーキハウス気分に着火してくれる。
肉の前に胃腸を整えるべく、たっぷりとグリーンサラダを。

 Tボーンのようなバターの海はなかったが、我々も大人である。ある程度の食経験を積み重ねたうえでの行動に出てみた。そう、パンについてきたバターをヒレに塗って食べるというヒラメキ! 思いついた友は天才だ。

一見、こじんまりと見える大人向き「ヒレ」400g。ヒレのおいしさはまた格別(バター塗らなくても)。

 一見岩山のようなヒレは切れば深い紅色で、しかも、ステーキを焼くシーンをさんざん観てきたばかりの身には臨場感がある。そして、熱いうちにバターを塗って食べれば、気分はまさに“ステーキ・レボリューション”なのだ。

 バター・ヒレ・ステーキとごはんにクリームスピナッチを合わせ、素敵なプレートディナーになったというわけ。

こちらがいつの日か食べたバターたっぷりバージョンのTボーン。もう一回観たいと思っているので、そのときはこっちだな。

 この映画のキャッチフレーズ「ステーキをおいしく食べるための食前ムービー」というのはこわいくらい本当である。リアルにステーキハウスは予約すべき。「やばいよ~、ステーキが食べたくなっちゃったよ~」と焦りながら観るよりも、「ああ、もうすぐ本当にステーキが食べられる♪」と思いながら観たほうが絶対楽しい。

 特に澄ましバターをたっぷり使う「ウルフギャング・ステーキハウス」はおすすめ。もし、バターっけの薄いステーキ屋さんに行ってしまったら、パンのバターを塗りましょう♪

ウルフギャング・ステーキハウス
所在地 東京都港区六本木5-16-50 六本木デュープレックスM's 1F
電話番号 03-5572-6341
[2015年10月来訪]

『ステーキ・レボリューション』
オフィシャルサイトURL http://steakrevolution.jp/

北條芽以(ほうじょう めい)
神奈川県鎌倉市生まれ。情報誌編集者を経てフリーライター、料理本の編纂を行う。好きなのは炭水化物(特にごはん)とお肉の組み合わせ。お酒はあまり飲めない。「左手にごはん茶碗を!」

Column

北條芽以のLOVEレストラン

美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!

2015.10.22(木)
文・撮影=北條芽以