永瀬正敏の足をうっかり踏んじゃった!

マーティン・スコセッシ監督の『沈黙』も楽しみな浅野さん。考えてみたら、浅野さんには海外でしか会ったことないな。

 日本からは『岸辺の旅』の浅野忠信。浅野さん、ほんと、いい笑顔でしょ? 浅野さんはエキセントリックな役もいいけど、『岸辺の旅』で演じたちょっと世慣れない感じの普通の人(といっても今回はこの世の人ではないのだが)を演じるのが抜群にいい。ご本人はとっても明るくて、照れつつも気さくで、映画について情熱的に語ってくれる人。そして何年たっても初々しい。

侯孝賢は『座頭市』や『宮本武蔵』など日本のチャンバラ映画が大好き。いつか妻夫木くんと日本映画をやりたいと言っていた。そのときはセリフを削らないでね。

 続いて『黒衣の刺客』の妻夫木聡&侯孝賢。侯孝賢は妻夫木くんの人間性をとても買っていて、甥っ子のようにかわいがっていた。俳優は演技力や佇まい、ルックスはもちろんだが、やはり最終的には人間性に行き着くんだなあ。海外での仕事に必要なのは精神的、肉体的なタフネスと、どれだけ人の懐に飛び込めるかなんだろう。妻夫木くんは、年々いい顔になってきた。

永瀬さん、本当にいい人だ。ちなみに永瀬さん、浅野さんは二人ともお酒が飲めないので、カンヌでゆっくりお茶をしたそう。

 最後は『あん』の永瀬正敏。永瀬さん、本当にごめんなさい。マダムアヤコったらパーティーでは足を思い切り踏んじゃうわ、話しているときに過去の永瀬さんの出演作と浅野さんの出演作がごっちゃになっちゃうわ、とマダムとは名ばかりのとんだ不届き者だったんだが、「みなさん、よく間違われるんですよ」と笑いとばしてくれました。本当にいい人だ!

 すっかり気安く話しかけちゃってたが、実はお会いするのは初めて。同年代なのでずっと見続けているせいか、初めてという気がしなかった。

 永瀬さんも、浅野さんも、海外作品への出演が多い。妻夫木くんも含め共通するのは、海外での経験で磨かれ、さらにそれを日本の作品に還元したい、という気持ちが強く感じられたこと。外に出るってやはりいいことだ。ルーティーンだけではやって行けないことが多いから、大変な分、いろいろなことが磨かれていく。

 マダムアヤコも磨きをかけに、また旅へ出る。次は釜山だ。ただ問題は、家がどんどん片付かなくなることなんだけど。

石津文子 (いしづあやこ)
a.k.a. マダムアヤコ。映画評論家。足立区出身。洋画配給会社に勤務後、ニューヨーク大学で映画製作を学ぶ。映画と旅と食を愛し、各地の映画祭を追いかける日々。ときおり作家の長嶋有氏と共にトークイベント『映画ホニャララ はみだし有とアヤ』を開催している。好きな監督は、クリント・イーストウッド、ジョニー・トー、ホン・サンス、ウェス・アンダーソンら。趣味は俳句。俳号は栗人。「もっと笑いを!」がモットー。