甘みのなかに、ほのかな苦みを感じるのが、高級ドリアンの証拠

 ドリアンはクサイ。でも不思議なことに、食べている間は、匂いはまったく気になりません。食感は熟れたイチジクのようにとろんとやわらかく、カスタードのようにクリーミー。味は甘いのですが、砂糖の甘さではなく、飴色になるまで炒めた玉ねぎの甘さに近い。甘みのなかにビターチョコのような苦みを感じる味が絶品だといわれています。

 マレーシアで人気のドリアンは「猫山王/ムーサンキング」です。濃厚な甘みと、ねっとりとした食感が特徴。ほかのドリアンに比べると2~3倍の値段ですが、果肉のなかに入っている種が薄いので、食べ応えもじゅうぶん!

右が猫山王、左がD24。果肉の色、トゲの大きさが違うのがわかる。D24の方が上品な甘みで、好みがわかれる。

 ドリアンシーズンになると、ドリアン屋台が次々に道端に現れ、スーパーにもいっせいに並びます。

屋台でドリアンを物色中。その場で割ってもらい、中の実をチェックすることもできる。「カンポン・ドリアン」とよばれる、手のひらサイズのドリアンもおいしい。
スーパーのドリアンコーナー。小分けになったパック入りが並ぶ。もちろんマレーシアにもドリアンが苦手な人はいるが、この季節は我慢するしかない……。

 ドリアンに初挑戦するなら、スーパーの小分けパックをおすすめします。できるだけ、果肉がムッチリとハリのあるものを選ぶこと。冷蔵庫で冷やすと、かなり食べやすくなりますが、冷蔵庫内の食材がすべてドリアン風味になることは覚悟の上ね。また、ホテルへのドリアンの持ち込みは禁止されているので、その点もお忘れなく。

屋外のドリアン屋台にはテーブルと椅子が用意されていて、その場で食べることができる。サイズによって値段が異なり、1個10~30リンギット(330~1000円)程度。

 4人ぐらい集まったら、ドリアン屋台で丸ごと1個買いに挑戦してみましょう。1個にだいたい5~7房の実が入っているので、ひとり1房も食べればペロッといけちゃいます。屋台の店主においしいドリアンを選んでもらいましょう。

 ※このコラムのラストに、現地のドリアン屋台の様子を動画で紹介しています! こちらもお見逃しなく。

ドリアンの食べ方は、噛むのではなく、種の周りをしゃぶる。手についた匂いは、食べ終わったドリアンの殻に水をいれ、その水で洗うと取れる(らしい)。

 さて、ドリアンについての豆知識。ドリアンは体の熱を上げる果物なので、体をクールダウンする「マンゴスチン」と一緒に食べます。また、大量に食べると、胃のなかでぐんぐん膨らんでいくような感覚を覚えます。これはドリアンの揮発成分によるもので、慣れるまではちょっと気持ち悪い。よく言われているように、大量のビールを飲んでドリアンを食べるのは、病院に運ばれた人の話も聞くので、やめたほうがいいでしょう。

 それでは、驚きのドリアンスイーツがとうとう登場です!

2015.05.28(木)
文=古川音
撮影=古川音、三浦奈穂子