【次に流行るもう一曲】
Perfume「Relax In The City/Pick Me Up」

音楽とITの世界的祭典「SXSW」でも喝采を浴びる

伊藤  もう1曲は、Perfume「Relax In The City/Pick Me Up」です。前述の4月9日付「RUSH」発売前ランキング(外部サイト)だと、既に4位ですね。

山口 4月28日の週のリリースではダントツなので、今回は、オリコン1位も取りそうですね。3月のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)でのライブもかなり話題になっていました。

伊藤 YouTubeで見ましたけど、演出がスゴイですね。

山口 僕はリハーサルの様子も見ていましたが、小さな会場なのに、凄く凝ったステージでした。メディアアートとしても素晴らしいですね。グローバルに、Perfumeの存在感を示せたと思います。「日本らしさ」のあるアーティストですし、海外でももっと活躍してほしいですね。

伊藤 ですね。SXSWってそもそもどんなイベントなんですか?

山口 テキサス州オースティンで毎年行われる音楽とITの世界的祭典です。1987年にアーティストショーケースを目的とした音楽フェスとして始まったのですが、フィルム部門、インタラクティブ部門と広げていって、どんどん大きくなっています。キーノートとかカンファレンスが充実しているのと、テクノロジーもコンテンツもごった煮な感じが特徴ですね。約2週間にわたって、オースティンの街中が大騒ぎです。TwitterがSXSWをキッカケにブレイクしたことで、IT企業にとっても重要なイベントになりました。ロックバンドが夏フェスを起点に計画を立てるように、世界のITベンチャーは新サービスを発表する時期などで、SXSWを意識した事業計画を練ることになっているようですよ。新しいサービスを始めるスタートアップ企業のAwardも影響力がありますね。

伊藤 なるほど、Perfumeのライブ演出があれだけ凝ったものになっているのが納得いきました。山口さんは、ずいぶん前からSXSWに関わってますよね?

山口 以前は自分のアーティストをショーケースに出したりもしましたが、今年の立場は、「JAPAN PAVILION」と「JAPAN DAY」のプロデューサーでした。SXSWの影響力が世界的に大きくなって、国別対抗の場となっているんです。日本の存在感を示したいなと思って、微力ながらお手伝いしています。オールジャパンでコンテンツをPRする場をつくるためです。

伊藤 良いですね。じゃぁ来年はプロデューサー伊藤涼として、コンテンツを作る側でお呼ばれされるようにならないと(笑)。

山口 今年から、朝日新聞メディアラボと共同で始めた「シブハラミーティングVol.2」(外部サイト)で、「SXSW2015徹底レポ」をテーマのトークイベントをやります。私が司会で、SXSW Asia代表の麻田浩さんに歴史を伺ったり、近年のキーノートのトレンドをAOI pro北村久美子さんに説明してもらったり、なかなか掴みきれないSXSWについて包括的かつ本質的な理解ができる楽しいイベントにするつもりです。「SXSWって何?」という人も是非、来てほしいです。4月22日(水)19時からです。

伊藤 ぜひスタディーしに行きます。ITベンチャーだけでなく、世界に飛び出していくアーティストやクリエイターにとっても重要なイベントってことですもんね。Perfumeに続け! じゃないけど、もっと日本の音楽が世界で活躍するきっかけになってほしいです!

Perfume「Relax In The City/Pick Me Up」
ユニバーサル ミュージック 2015年4月29日発売
完全生産限定盤[CD+DVD]2,407円、初回盤[CD+DVD]1,759円(税抜)
■メジャーデビュー10周年&結成15周年となる2015年初のニューシングルはダブルAサイド。「Relax In The City」は、サッポロ グリーンアロマのCMソング(CMにはメンバー自身も出演)。「Pick Me Up」では、Perfumeと伊勢丹新宿店による異色のコラボレーションが実現している。
■「Relax In The City」「Pick Me Up」作詞・作曲/中田ヤスタカ
■オフィシャルサイトURL http://www.perfume-web.jp/

【動画サイト】
「Pick Me Up」
URL https://www.youtube.com/watch?v=vhfYis6VuXY

山口哲一 (やまぐち のりかず)
音楽プロデューサー、コンテンツビジネス・エバンジェリスト。(株)バグ・コーポレーション代表取締役、「デジタルコンテンツ白書」(経産省監修)編集委員。プロデュースのテーマに、ソーシャルメディア活用、グローバルな視点、異業種コラボレーションを掲げて、音楽とITに関する実践的な研究を行っている。著書に『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)、『ソーシャル時代に音楽を“売る”7つの戦略』『プロ直伝! 職業作曲家への道』(リットーミュージック)、『世界を変える80年代生まれの起業家 ~起業という選択~』(スペースシャワーネットワーク)、『DAWで曲を作る時にプロが実際に行なっていること』(リットーミュージック)がある。詳細プロフィールはこちら
Twitter@yamabug https://twitter.com/yamabug
ブログ「いまだタイトル決めれず」 http://yamabug.blogspot.jp/
作曲家育成セミナー「山口ゼミ」 http://www.tcpl.jp/openschool/yamaguchi.html
WEDGE Infinity連載「ビジネスパーソンのためのエンタメ業界入門」 http://wedge.ismedia.jp/category/entertainment

伊藤涼 (いとう りょう)
音楽プロデューサー、ソングライター。「青春アミーゴ」などのミリオンセラーをプロデュース、後にフリーランスに。ソングライターとして、乃木坂46「走れ!Bicycle」、AKB48「ここにいたこと」などの作品がある。作詞アナリスト、フードミュージックプロデューサーとしても活躍。論理的で明晰な分析力に注目。著書に『作詞力 ウケル・イケテル・カシカケル』(リットーミュージック)がある。
マゴノダイマデ・プロダクション http://www.mago-dai.com/
ブログ「伊藤涼の音楽」 http://ameblo.jp/magodai/
伊藤涼が主宰する作詞研究室リリック・ラボ 
http://www.mago-dai.com/?p=778

Column

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2015.04.14(火)
文=山口哲一、伊藤涼