マレー半島とボルネオ島北部にまたがる常夏の国、マレーシア。実はこの国、知る人ぞ知る美食の国なのです。そこでこの連載では、マレーシアの“おいしいごはん”のとりこになった人たちが集う「マレーシアごはんの会」より、おいしいマレーシア情報をお届け。多様な文化が融け合い、食べた人みんなを笑顔にする、とっておきのマレーシアごはんに出会えますよ。

「ロティ・チャナイ」に惚れた!

 マレーシアにはおいしい料理がたくさんありますが、「マレーシアごはんの会」調べによると、人気ベスト5に必ず入っているのが、この「ロティ・チャナイ」です。通称、インド風のパンケーキ。中はもちっ、外はさくっとした食感の生地を、カレーソースにたっぷりつけて食べる料理で、“粉もの”や“カレー”好きの人なら絶対にハマってしまう、マレーシア人自慢の食事です。

「ロティ・チャナイ」はインド系のマレーシア料理。1枚の値段は、1~3リンギ(約33~100円)程度とお手頃。

 「カレーは世界の共通食」と、誰かが言ったかどうかは定かではありませんが、これには大いに同感です! といいますのも、多民族国家マレーシアで、インド系マレーシア人の人口は全体のたった7%。彼らが受け継いできた食事スタイルがカレー系の料理なのですが、人口の比率に比べて、料理店の数が多いこと!  町にたち並ぶ料理店の3軒中1軒はカレー系の屋台が占める勢いで、朝から晩まで、多くのマレーシア人でにぎわっています。

ペタリンジャヤにあるカレー系食堂「ラジュ」。車で1時間以上かけて訪れる人がいるほどの人気店。

 そして、カレー系屋台料理の代表格が、今回紹介する「ロティ・チャナイ」です。作り方はいたってシンプル。小麦粉、塩、マーガリン(またはギーと呼ばれるバターオイル)を、水を合わせてよくこね、高温多湿の空気の中でしばし発酵させると、弾力のあるタネに変化します。これをおよそ1ミリ以下の薄さに広げて折りたたみ、層になった状態のままで焼きます。すると、クロワッサンの生地のように、パリパリ、サクサクの食感に仕上がるのです。

分厚い鉄板の上で、生地に油をなじませながら焼く。すると、表面はカリッとしたクリスピー感が味わえる。

※3ページ目に、現地マレーシアのロティ・チャナイ店の様子を動画で紹介しています! 厨房の様子も公開していますので、お見逃しなく!

天然のバナナの葉をお皿にしてサーブされることも多い。朝ごはん、日中の軽食や夜ごはんとしても人気の料理で、無料で付いてくるカレーのソースと一緒に食べる。

 さて、食に飽くなき探求心を燃やすマレーシア人。定番のプレーンでも充分においしいのですが、様々な具入りの「ロティ・チャナイ」も展開し、現地で大変人気となっています。それでは「ロティ・チャナイ」の進化バージョン、通好みの味を紹介しましょう。

2015.02.05(木)
文=古川 音
写真=古川 音、三浦菜穂子