東京ディズニーランドのナイトパレードを連想

山口 さて、「Hold me, Hold you」は作詞が玉井健二というクレジットです。歌詞にはこだわる彼ですが、単独で作詞のクレジットがあるのは珍しいですね。意気込みが伝わってくる気がします。

伊藤 歌詞の主人公は28歳の女性。心揺れる年頃のラブソングって感じですね。

山口 「作詞アナリスト」伊藤涼の妄想分析は、どうなりましたか?

伊藤 もちろん彼に対して興味がないわけじゃないけど、彼からのデートの誘いに乗った理由はその行き先だった。ナイトパレードを観にディズニーランドに行こう、と言った彼の顔は少し子供っぽく笑っていたけど、冗談なんかじゃなかった。ディズニーランドに行ったのなど、いつ以来だろう? たしか小学6年生の時に、卒業旅行と理由をつけて女友達3人で行ったのが最後。それ以来、ディズニーランドに行かなかったのは、単に誰にも誘われなかっただけだ。

 仕事を早めに切り上げた彼が車で迎えにきた。車には詳しくないけど、男の腕の筋肉を想像させるようなフォルムに白いボディー、屋根がない分だけ、仕事帰りにしてはくたびれていないスーツ姿が目立つ。とてもディズニーランドというファンタジーな世界が似合う感じの装いではないけど、車の窓に映っている自分も似合っていないなって、少し心の奥で笑った。

 あたりまえの挨拶とちょっとした社交辞令を交わしただけで車は走り出す。会話は殆どないが、彼はたまにこっちを見てあの子供っぽい笑顔をする。海に浮かんだ工場たちの星を眺めながら、まだ冷たい風を吸い込む。防音壁で星たちが見えなくなると、目を閉じて2人の横をナイトパレードが過ぎていく姿を想像する。彼は笑うのだろうか? そして私は笑えるのだろうか? どんな会話をして、どんな夜を過ごすのだろうか? なんだか少しワクワクしてきた。

 その時にふと思いだす。小6のときに友達とディズニーランドにいって、理由は覚えていないけど1人の子が途中で泣き出しちゃったことを。私ともう一人で一生懸命なだめたけど泣き止まなくて、仕方なく予定より早く帰ったことを。夕方からのパレードを楽しみにしていたのに……、本当は凄く楽しみにしていたのに。

山口 アナザーワールドになっていますね。今度、玉井さんと3人で飲みながら、この話をしたいです(笑)。

JUJU「Hold me, Hold you/始まりはいつも突然に」
ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ 2015年2月11日発売
初回生産限定盤[CD+DVD]1,852円、通常盤[CD]1,165円(税抜)
■2015年のスタートを飾る両A面シングル。「Hold me, Hold you」は西炯子の人気コミックを映画化した『娚の一生』の主題歌、 「始まりはいつも突然に」はフジテレビ系「めざましテレビ」金曜日のデイリーテーマソング。MONGOL800のカバー「小さな恋のうた」も併録している。
■「Hold me, Hold you」作詞/玉井健二 作曲・編曲/玉井健二、百田瑠衣
■オフィシャルサイトURL http://www.jujunyc.net/

2015.01.31(土)
文=山口哲一、伊藤涼