“清く正しく美しい細胞”をもたらす美容液

 ここにご紹介する2本の美容液は、どちらも細胞そのものを美しくして、“美人の細胞”を作るという明快な目的を持った。アプローチは違うものの、どんなお手入れにも組み込める一品というスタンスは共通している。それも、お手入れの初めに細胞のキズや毒素を取りのぞくため。

 これまでの細胞ケアは、むしろ“与えること”で細胞のエネルギーを高めて細胞を若返らせようとしてきたが、これら2つの美容液は、むしろ細胞のネガティブを取りのぞくことで、細胞のひとつひとつを言ってみれば“正しく清らかな細胞”にするという考え方をもったのだ。

 まずアルビオンの大ヒット美容液エクラフチュール。これは、細胞のキズを“バンソウコウ”でケアするような働きかけ。なぜそんなリアルな細胞修復が可能になったのかと言えば、ガン治療の最先端で使われている“成分の運搬技術”とのコラボレーションで生まれたものだから。

 しかも単に奥まで届けるだけじゃない、届けるべき場所に合わせて、届け方を変え、届ける形を変えていくような、今までにない高度なデリバリー技術を可能にしたから。言うならば、細胞のキズに合わせた形や大きさの“バンソウコウ”を直接送りこむ働きをもったのだ。

 一方のディオールのワン エッセンシャルは、毎日毎日その場で細胞の毒素を浄化していくような細胞デトックス効果をもった1本。まずディオールは、肌内部で日々70億個もの有害物質が生まれていることに着目、これを日々なかったことにするアプローチで最初のワン エッセンシャルを成功させたが、今回ご紹介するのはその進化版。肌の最芯部すなわち細胞のすみずみにまで届いて、細胞の部屋の中をそっくり浄化していくという、より高度なデトックス効果をもったのだ。

 方法は異なるものの、どちらも“清く正しく美しい細胞”をもたらす、今までになかった考え方。何より、細胞は見えているから、目に見えて美しい細胞を作ることで、見た目に美しい肌は必ず作れるという確信をもったこと。細胞を清く正しく美しくすれば、肌は真の透明感をもち、ツヤとハリに満たされる。ひいては、細胞の形をひとつひとつ整えれば顔だちまで美人になると訴えていること。そこが今までの細胞ケアとはハッキリ一線を画す点なのだ。

 ともかくパッと目を惹くほど顔全体がなめらかなハリをもつ、澄みきった発光肌の持ち主は、要するに細胞のひとつひとつが美しいのだ。美人細胞を作る……いよいよ本当のエイジングケアが始まる。

齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。

Column

齋藤 薫 “風の時代”の美容学

美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。

2014.09.02(火)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫

CREA 2014年9月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

おいしい読書

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