本場の音楽に触れるため、中3で単身NYへ

――それで、地元・大阪のボーカル&ダンススクールに入学されるわけですよね。

 歌手を目指すにあたって、中学時代は部活に入らず、歌とダンスが習えるスクールに通い始めました。授業が終わるとスクールに直行し、レッスンを受けていました。グループを組んで、レッスンを受けたりしていたので、部活をやっている友達と何も変わりませんでしたよ。中3のときには完全に、将来は音楽でやっていこうと思っていましたね。だから、自分的には高校に進学する意味が分からなかったんです。同じ日々を繰り返すことに疑問を感じていたというか……。今となっては「今を生きる」ということは十分に理解できるんですけど、あの頃は将来のことというか、先のことばかり考えていたんですよね。

――それで、中3のときに単身でニューヨークに行かれるわけですが、なぜニューヨークだったんですか?

 とにかく本場の音楽に触れたかったんです。初めての海外で、自分の周りにいる人間がすべてアメリカ人というだけでも衝撃。今では考えられないようなカルチャーショックを受けましたね。15歳だったのでさすがにライブハウスには入れなかったんですが、ストリートミュージシャンや教会のゴスペルを見たりしました。あと、今は僕もミュージカルをやっていますが、あの頃はあまり興味がないながらも「プロデューサーズ」や「ヘアスプレー」といった話題のミュージカルは見てましたね。「ウィキッド」があまりに人気すぎてチケットが取れなかったり……(笑)。その後、毎年のように行われているので、あそこまでの衝撃はないかもしれませんけど、当時はすごかった。今でもいえることは、僕はあの街に流れている音楽、あの街でできた音楽が心底好きなんですよ。あと、親切で礼儀正しい日本人とは違った温かみを、あの街の人々には感じるんです。ちょっと関西人に似ているかもしれません。

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2014.06.20(金)
文=くれい響
撮影=鈴木七絵
ヘア&メイク=武部千里