ミャンマー版の赤ちょうちんでビール三昧!

 多民族国家を旅する楽しみのひとつが、食。ラオス、タイ、インド、バングラデシュ、中国と接するミャンマーには、さまざまな料理がある。ヤンゴンでよく見かけたのは、ビルマ族やシャン族の料理。煮込みもカレーも油たっぷりなのが特徴なのだが、これが意外といける。食卓で必ず用意されるラペットゥ(茶葉の漬け物を、塩やナッツ、揚げニンニクなどで調味したもの)もおいしかった。マンゴーの漬物も、ビールによく合う。

大量の油で食材を煮詰める「油戻し煮」は定番の調理法。これだけ油を多用していながら、女性はスリムな美人が多いのはなぜ?

 ミャンマーは、知る人ぞ知るビール天国。ミャンマービールは、世界的なビールコンテストで何度も受賞をしている。これも、英国植民地だった頃の名残だろうか。市内には、生ビールを飲ませる店が並ぶビアパブ通りがあると聞いて、夕暮れ時、さっそく渇いた喉を潤しに出かけてみた。そこには、オープンエアの店がずらり。どの店にも大きなビア樽があって、できたてのビールを注いでくれる。驚くべきは生ビールの価格。生ジョッキがだいたい300チャット(約30円!)と、ミャンマーの物価からしても安い。

 おつまみは串焼きがメイン。ショーケースの中に串がずらりと並んでいて、好きなものを選んで焼いてもらうシステムだ。隣のテーブルでは、会社帰り風のグループが乾杯していたり、おじさんたちが串焼き片手に語っていたりと、雰囲気は、有楽町のガード下そのもの。

串焼きを焼くいい香りと、きゅんと冷えた生ビール。赤ちょうちん気分で楽しめる生ビール街。

 ビールがおいしくて、人々が温かなミャンマー。開発が進めば、この街の雰囲気もどんどん様変わりしていくことだろう。「いつかヤンゴンを旅してみたい」、そう思っている人は、迷わず次の旅先に、この街を選んでほしい。

芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.serizawa.cn

Column

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2014.06.17(火)
文・撮影=芹澤和美