
さあ、土用の丑の日! そうでなくても、暑くてウナギが恋しい今日この頃ですが、ウナギの予約はもうお済ですか?
CREAスタッフの中でも指折りのウナギ愛好家、ライターの嶺月香里さん。取材で全国各地を飛び回り、行く先々でウナギ情報を仕入れてくる嶺月さんは、編集部でウ大臣と呼ばれています。そんな嶺月さんのおすすめウナギ情報を書き綴ってもらいます。
第5回は愛媛県・松山の「鰻と酒 うな辰」へ。夜はナチュラルワインや日本酒、ウイスキーなどでウナギがつまめ、居酒屋感覚で過ごせる非常に使い勝手のいいお店なんです。
ウナギの身も肝もタレも、酒肴に変化! 相方は“ウナギにあうナチュラルワイン”

この店を知ったのは、道後温泉でぽかっとあたたまった後に入った寿司屋「奴寿し」。二神島と八幡浜の赤ウニが食べ比べできるなど、瀬戸内の地魚・地酒が味わえるとてもいいお店です。地元の情報に詳しそうだなとピンときて「松山でウナギを食べるなら?」と尋ねてみたところ、「今行くなら、ココ! お酒もいろいろ飲めますよ」と、「鰻と酒 うな辰」を教えてもらいました。
店は三越デパートの裏路地という好立地で、誰でも入りやすい和モダンな内装。看板に書かれた「鰻と酒」という文字に心が躍ります。まずは黒板メニューから、「鰻とめひかりの南蛮漬け」を。揚げたてのウナギと高知産のめひかりを、甘酢できゅっとしめた一品。七味もいい感じに効いていて、甘酸っぱさと辛さがウナギの滋味を際立たせています。

お次は「鰻肝湯引きポン酢」。ふだん甘辛いタレで食べることの多いウナ肝ですが、さっぱりしたポン酢を合わせると、脂ののった肝の濃い旨みがぐぐっと出てくる感じ。あっさりしているけれど、肝の力強さはしっかり。そして湯引きにすると、ぷるり、とぅるりとしたなんとも言えない食感に!

ウナギを縦に細長く切って串に巻き刺し、炙ってタレ(黒)か塩(白)で仕上げた「うなぎくりから串」は、1串が1/4尾分なので、ちょい飲みやおひとりさまにもちょうどいいサイズ感。不動明王が持つ倶利伽羅剣(くりからけん)が、竜や炎を巻き付けているような姿からこの名がついたそう。

焼いたウナギを、にんにくの芽と一緒に炒め、タレと山椒で仕上げた「うなぎとにんにくの芽炒め」は、パンチの効いたザ・スタミナつまみ。赤ワインでもいけるし、ビールでグイッと飲むのもよさそう。こちら、キノコや旬野菜を加えて炒めるなど季節でアレンジしているそうですよ。

ほかにも、塩漬けにしたウナギを蒸して冷ました「うなハム(鰻ハム)」や、鮮度のいい活ウナギを鱧のようにしゃぶしゃぶした「うなぎの湯引き」、「鰻味噌」など創意工夫に満ちたつまみが登場。黒板メニューは常にアップデートされているので、訪れる度に新しい料理との出合いが待っています。
2025.07.19(土)
文・撮影=嶺月香里