いろんな「受け」の芝居を学んだ最新作

――小鷹を演じるにあたっての役作りのようなものは?

 僕も実際に友達が少なかったりするので(笑)、彼の気持ちは良く分かったんですよ。友達がほしいとは思っているけど、どこかで一人の時間が心地良いとも思っている。さすがに素ではないですけど、ある程度は自然体で演じられましたね。ただ、イギリス人とのハーフという設定に関しては、ヴィジュアル面でフォローするしかなかったですね(笑)。髪の毛を染めるのもそうですけど、手足も脱色していたんです。ブリーチ剤を手足に塗っていたんですけど、これがスゴくかゆくなるんですよ。ひょっとしたら役作りのなかで、これがいちばんシンドかったかもしれない(笑)。

――今回の作品に出演したことで、学んだことは何でしたか?

 今回はすべてと言っていいほど、「受け」の芝居ばかりだったんです。ほかのキャラクターの個性が強いし、インパクトもあるので、僕は観客目線でみんなが起こすアクションをどう受けるか。そのとき感じたものを、瞬発的に身体や表情で表現できるか。今回の芝居の醍醐味だったと思います。また、カメラの後ろの方で、アドリブというか、小芝居みたいなものもチョコチョコやってますし、格闘アクションもそうだし、いろんな受けの芝居ができたので、それは今後役者を続けていくことにおいて勉強になりました。

――最後に、今後どのような俳優を目指したいなど、将来の展望を教えてください。

 去年2013年は、阿部サダヲさんと共演させて頂いた「八犬伝」という舞台から始まり、『貞子3D2』『JUDGE/ジャッジ』『僕は友達が少ない』というジャンルの違う3本の映画に出していただき、その後もドラマ「斉藤さん2」で熱血先生を演りながら、合間にWOWOWのドラマ「LINK」で犯罪者を演り、『わたしのハワイの歩きかた』でハワイにも行きました。とにかく充実した1年でした。だから、今年も「こういうジャンルしかやらない」というのは決めたくないし、いろんな役に挑戦したい気持ちは強いです。個人的には、めでたしめでたしなハッピーエンドモノでなくて、エンディング後にもいろいろ考えさせられる作品が好きなんです。特にクリント・イーストウッド監督の映画が好きで、『グラン・トリノ』とか『ミスティック・リバー』とかいいですね。いい人が恵まれないというか、厳しい現実を描いた作品が心に沁みるというか、引っ掛かってきているので、そういう作品にも出演したいです。

瀬戸康史(せと こうじ)
1988年5月18日生まれ。福岡県出身。2005年、俳優デビュー。08年「仮面ライダーキバ」「恋空」のW主演で人気を博す。その後も、多くの映画・ TV・舞台に出演。現在、主演ドラマ「ロストデイズ」がフジテレビ系にて放送中。映画『わたしのハワイの歩きかた』が初夏公開予定。

衣装協力
ジャケット¥18900/JACKMAN、パンツ¥15750/JACKMAN、ベスト¥50400/オルテガ(すべてBackdrop)

『僕は友達が少ない』
聖クロニカ学園2年生に転校した小鷹(瀬戸康史)は、ハーフで金髪という風貌から友達ができない。ある日、キツい性格と毒舌で孤立していた夜空(北乃きい)と知り合った彼は、ひょんなことから友達作りが目的の「隣人部」を結成。だが、自由すぎる彼らの行動を生徒会長の西園寺(栗原類)はマークしていた。
(C) 2014映画「僕は友達が少ない」製作委員会
http://www.haganai-movie.jp/
2月1日よりロードショー

くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2014.01.26(日)
text:Hibiki Kurei
photographs:Asami Enomoto
hair & make-up:Junko Kobayashi
styling:Yojiro Kobayashi(Yolken)