見事なバージョンアップをとげた安室の復活劇

山口 この歌を聴いて、ヴォーカルの表現力という意味でも、すごく成長したなぁと改めて思いました。スーパーモンキーズでデビューしたのが1992年だから、もう20年以上経つんですね。

伊藤 90年代後半の彼女はまさにカリスマでしたよね。

山口 いわゆる小室ファミリーとして、ヒットを連発して、歌手としてまさに、流行のど真ん中にいたけれど、若い女性の一番のロールモデルだったのではないかな?

伊藤 “アムラー”って言葉もありましたよね。

山口 流行の真ん中にいて、彼女がいることで、その流行が本物になっていった、という印象があります。

伊藤 また、結婚、出産が早かったことも、いまの彼女の良質なアイデンティティをつくりだしていますよね。いまはママになった当時のアムラーたちの、永遠の憧れで居続けているっていうか。

山口 彼女が20歳で出産したときには、子供が減っている日本で、若い女性の間で出産がブームになると良いのになと思いました(笑)。

伊藤 あの時代をときめくスーパースターの妊娠、結婚なのにスキャンダルっぽくならなかったのは、彼女が持つある種の神秘性ゆえだったんでしょうかねぇ?

山口 清潔感がいつまでもあるのが、彼女の魅力ですよね。ママになって、大人の女性になったのだけれど、若い頃以上に、セクシー&クールビューティが”売り”になっているのが、すごいことだなと思います。

伊藤 事務所、レコード会社、その他のもろもろのスタッフを含め、彼女の“見せ方”にはかなり苦心はしていると思いますが、安室奈美恵という素材あってこそ成し得ることですからね。

山口 ファッションリーダーにもなっている。女性アーティストで、こういう活動のあり方、特に近年の“復活”の仕方は、これまで日本人では無かったパターンでしょう?

伊藤 そう、あの復活劇は華麗だった。普通だと痛々しい結果になりがちなのですが、むしろバージョンアップして帰ってきて、「やっぱり安室奈美恵ってカッコイイな」って日本中に再確認させましたね。

山口 はい。今また、日本人女性のロールモデルNo.1になったなと思います。

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2013.12.26(木)