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はじめてのお椀ならウレタン塗装の木製のものがおすすめ

 普段、和食が多い方ならごはん茶碗と味噌汁用のお椀から買われるのもいいかと思います。直径は4~5寸ぐらい、少し小さめのものに軽くごはん盛ると、ふっくらした食感のまま楽しめますよ。ちなみに僕は、ごはん茶碗を10個ほど持っていて、その日の気分で使っています。

 汁物用のお椀なら、値段もお手頃で扱いやすいウレタン塗装の木製のものがいいかと思います。木のものは、手に持ったときの温かみがやはり違いますね。愛着もわきやすいものです。割れなくて、熱伝導率が低いから熱いものを入れてもお椀自体が熱くならず、持ちやすいという利点もあります。ただ濡れたままにしていると、カビや黒ずみが発生することも。手間ではありますが、すぐに洗ってその都度拭かれることをおすすめします。

 余談ですが、僕自身は陶器のうつわを多く使っています。陶器というのは磁器に比べると経年変化があるんですね。使い続けるうちに、しみや黒ずみなどが生まれやすい。磁器というのは粒子が細かくガラス質のため、陶器よりもそういうものが発生しにくい。つまり、買ったときと同じ状態を保ちます。

 ただうつわにだんだん慣れてくると、陶器のそういう経年変化も「使い込んできた歴史」というか、うつわの「景色」として楽しもうという気持ちになってくるんです。もし興味がわいたら、ぜひ陶器のうつわも手に取ってみてください。

日本の手仕事 暮らしの道具店 cotogoto

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白央篤司

フードライター。「暮らしと食」をテーマに、忙しい現代人のための手軽な食生活のととのえ方、より気楽な調理アプローチに関する記事を執筆する。近著に『台所をひらく 料理の「こうあるべき」から自分をほどくヒント集』(大和書房)がある。
https://www.instagram.com/hakuo416/

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Column

うつわのある暮らし

食を彩る素敵なうつわとともに日々を過ごす。憧れるけどなにから始めたら? フードライターの白央篤司さんが、「うつわのある暮らし」を始めるヒントを探りに、うつわの専門家を訪ねました。

2023.05.20(土)
文=白央篤司
撮影=平松市聖