その② バシッと派 vs 親身派

 詰まるところ、コミュニケーションには、人と人との相性があります。なんとなく、この美容師さんの「喋り方」「トーン」「リズム」は居心地が良いな、と感じたことはありませんか? 反対に、話が弾まずに気まずい空気になったり、聞きたくない話を聞かされるのはストレスです。ですが、それは相性なので、どちらかが悪いわけでもありません。

 また美容師さんの「仕事のスタンス」は、大きく二手に分かれます。

・「貴方にはこれが似合う」と、バシッと指し示してくれる美容師

・「どうしたいですか?」と、ヘアスタイルの相談に時間をかけてくれる美容師

 これは美容師さん側の仕事の「価値観」なので、自分にとってどちらが心地よく受け入れられるかは、大事な判断基準です。

「2~3ヶ月に一回会う」美容師さんは、長いお付き合いになると、お客様にとってプライベートの相談役になったり、年齢問わず人生のメンターになる方も多いです。

 また、話しやすい美容師さんなら「前回のヘアスタイルはイマイチだった」「ここは、もうちょっとこうしたい」と改善点も伝えやすくなり、より良いヘアスタイルを作るための相談がしやすくなります。

その③ 「髪」「世間話」以外の引き出しの有無

 これはあくまで僕の経験則ですが、今までに美容師以外の「何かの分野」を突き詰めたことがある方は、美容師としても輝いています。「何かの分野」で一点突破した経験がある先輩、同僚、後輩は、仕事にも信念を持って取り組んでいる方が多いです。

「学生時代は、部活に人生を捧げていた」「遠回りして、特異な経歴で美容師になった」「セミプロ級の特技がある」「海外でも美容師をやっていた」「趣味の〇〇に関して、詳し過ぎる」「抱いた夢を諦めず、今も取り組んでいる」「他のなりたい職業とどちらを選ぶか悩んで、美容師に決めた」

 趣味、スポーツ、旅行、食、文芸、子育て……

 

 何かに情熱のある方の話には、“気持ち”や“経験値”が乗っかって、説得力があります。また機知に富んでいて、ニッチな内容を話せる方は、他の分野においても楽しみ方をよく知っています。それは「凝り性である」ことに近いかもしれません。

2023.04.25(火)
文=操作イトウ