ポイントは「よく観察すること」だけです。

靴のお手入れには……行きつけの靴屋さんから教わったケア用品で。「タピール」の天然素材のワックス、革に浸透して美しい艶がでる「キィウイ」の靴磨きのクリームとワックスを常備。靴は履いた日に、汚れを拭いて磨いて、靴箱へ。なるべく2日続けて履きません

 こう言うと、さも大層なことに聞こえますが、作業はごくカンタン。ポイントは「よく観察すること」だけです。脱いだ服をアイロン台にのせて、手のひらで、すぅうすぅーと、手アイロンをかけるように、着ジワをのばします。今日も忙しかったなあ、楽しかったなあ、くさくさしたなあ……なんてブツブツ呟きながらやっていると、大げさだけど服も靴も一日の苦楽をともにした仲間のように思えて、愛おしさも増して。服の布目に手をそわせてなでていると、ふしぎと疲れていた心のシワまでのびてくる効果もあるんです!

 とれかけたボタン、それに食べこぼしの汚れをみつけたら染み抜き剤ですぐにお手当。この時点で早めの処置をしていると、服の生地も長持ちしますし、後が違ってくるのです。次に着るときにシミや綻びをみつけて、朝の出がけにバタバタすることがありません。

 染み抜きなど家仕事の類いは、よいツールがあると断然楽しくなってきます。「趣味はアイロンがけ」といってはばからない私は、おめかし服も夫のワイシャツも、ずっとホームランドリー派。ただ薄手のカシミア製品だけは、お店のドライクリーニングに出していたのですが、それが最近、ニットデザイナーの友人に優れもののナチュラル洗剤を教えてもらって、カシミヤもウールも自分でじゃぶじゃぶ洗ってしまってます。

 上質なものを選んで買うだけでなく、お手入れを続けて風合いのある服を育てることも、大人のおしゃれの有効な一手ですよ。

Column

石村由起子の暮らしの“ツカミドコロ”

石村由起子さんといえば、人気のクラフト作家や料理家、エッセイストなど生活美学のある人たちが一目おく、暮らし上手です。
祖母から受け継いだ知恵と礼節、愛するモノを捨てずに活かすワザ、「これだけは」と手をかけてきた習慣など、多忙な日々のなかでも心豊かに暮らすために石村さんが「大切にしてきた」視点とアイディアを、CREA WEB読者に指南。年齢をこえて共感できるチャーミングな暮らし術を、プライベートフォトを添えて綴ります。

2013.12.06(金)
text:Reiko Oishi