城に囲まれた街で造られるワイン

 気温も上がり、穏やかな太陽に包まれる日も多くなりました。もうすっかり春ですね。

 春になるとフルーティかつミネラルを感じられる白ワインが飲みたくなります。そんなときにおすすめのワインは、マルケ州のヴェルディッキオ。

 柑橘系やリンゴの香りとちょっぴり感じる塩味、そして、後味に残るアーモンドの苦味が、春の山菜を連想させます。

 マルケ州はイタリア半島をブーツに例えるとちょうどふくらはぎ辺りに位置します。

イタリア地図。

 アドリア海に面した風光明媚な州で、海岸からなだらかな丘陵地帯が続き山に繋がるという地形です。海から山までの距離は40キロメートルという近さです。丘陵地帯が面積の約69%で、ブドウ以外にもパスタに使われる小麦やとうもろこし、豆などさまざまな農作物が作られています。

マルケ州のなだらかな丘陵。

 マルケ(marche)とは、マルカ(marca)という単語の複数形で、「境界線」と言う意味です。ヨーロッパ大帝国の境界線上に“国境領土を司る伯爵達”を設置し防衛にあたった際、マルケ州の名だたる貴族がその役を担ったことに由来します。混乱の時代を経て、マルケ州の各地域がほとんどローマ教皇の支配下となり、ようやく平和が戻ってきました。

 あまり知名度の高くないマルケ州ですが、古代から栄え続けた港町の州都アンコーナや、丘陵地帯にそびえる美しい世界遺産の街・ウルビーノ、城壁に囲まれた街・カステッリ・ディ・イエージ、欧州最大級のフラサッシ鍾乳洞など、見所満載の州でもあります。

州都アンコーナの港。
ルネッサンス生誕の地ウルビーノ。
フラサッシ鍾乳洞。

 中でも世界遺産にも登録されている芸術の街・ウルビーノはたくさんの人が訪れる観光名所です。

 「ルネッサンス」といえば花の都フィレンツェが思い浮かびますが、ルネッサンス発祥の地は、実はここウルビーノ。ルネッサンス三大巨匠の一人ラッファエッロ・サンティの生誕地でもあります。

 幼少のころから芸術の才能を発揮していたラッファエッロは、21歳でフィレンツェへ移り、ダ・ヴィンチに弟子入りをしました。ラッファエッロの作品の多くはトスカーナ大公国のメディチ家のコレクションとなり、現在もウッフィッツィ美術館をはじめとするフィレンツェの美術館に所蔵されています。(残念ながら、生誕地のウルビーノには少しの作品しか残っていないようです)

ラッファエッロの生家。

 ウルビーノは丘陵地帯の頂上にあり、気持ちよい風が吹き抜ける空が近い街です。鳥がさえずり、緑に囲まれた非常に平穏な街でとにかく静か!

 美しい自然に囲まれたストレスのない平穏な環境の中で、ここでルネッサンスが生まれたというのも納得できます。

 ヴィッラ・ブッチ社の当主であるアンペリオ・ブッチ氏によると、ドゥカーレ宮殿には、当時の宮殿に必ずあったものがないそうです。それは、宮殿を守るための壁です。ここのテラスは敵の攻撃を見張る場所ではなく、歌を歌い、会話を交わし、ワインやお食事を楽しむ場所だったのだそうです。

 マルケの人々は皆優しく朗らかで、自己主張など考えない平和主義者。それは、ここウルビーノで花開いた文化に起因しているのでしょうか。

ウルビーノ・ドゥカーレ宮殿。

 マルケは芸術だけではなく、美食の州としても知られています。

 アドリア海に面していて、さらに近距離に山もある、ということで郷土料理もシーフードからサラミや肉料理などバラエティに富んでいます。

 海沿いでは、13種類の魚介を入れて作られる「ブロデット」という魚介のスープが有名ですし、内陸ではウサギを使った「ウサギのポルケッタ」などもよく食べられます。

 そして、ここで収穫される硬質小麦から作られるパスタも欠かせません。代表的な郷土パスタといえば、細長い卵麺の「マッケロンチーニ・ディ・カンポフィローネ」です。

ブロデット。
カンポフィローネ。

 しかし、マルケと言えば忘れてはいけないのはこれ! マルケが誇る生サラミ「チャウスコロ」です。イタリアの中でもなかなか見かけない生サラミです。通常のサラミは数ヶ月熟成させるのですが、チャウスコロは数週間のみなので、とっても柔らか。

 サラミというより「パテ」に近い食感です。塩、胡椒のほかニンニク、赤ワインそしてフェンネルシードで味付けしてあります。おみやげとして、日本へ持ち込みたいところですが、お店の人に絶対ダメと断られました。チャウスコロを食すにはマルケに行かなければなりませんね。

チャウスコロ。

 さてさて、サラミに合わせるワインは何にしましょう。

 トスカーナ州だったら赤ワインとなりそうですが、ここマルケでは白ワイン。まさにヴィッラ・ブッチのヴェルディッキオ・クラッシコ・デイ・カステッリ・ディ・イエージがオススメです。ワインの中にある塩味がサラミの脂分を洗い流しなんともよいアッビナメント!

 これからの季節、ガーデンでのアペリティーヴォなんて最高ですね。

サラミとヴェルディッキオ。

 最後に、ワインの名前にも出てくるカステッリ・ディ・イエージについてひとこと。この街は、街のどこかにお城があるわけではなく、街全体がお城なのです。14もの中世のお城(Castelli)に囲まれた街なんて素敵ですね。そして、その街を囲むようにして広がる畑で育つヴェルディッキオで造られたワインが、ヴェルディッキオ・クラッシコ・デイ・カステッリ・ディ・イエージです。

【Castelli di Jesi】

 マルケ州はひまわりが綺麗に咲くことでも有名です。ひまわり畑を眺めながらワインを飲む、そんなヴァカンスもそろそろしたいですね。

ひまわり畑。

●日欧商事株式会社

https://www.jetlc.co.jp/

●ECサイト

https://italiakara.myshopify.com/

概要

応募期間 2023年3月17日(金)~2023年4月16日(日)23:59
賞品 ヴィッラ・ブッチ・ヴェルディッキオ・クラッシコ(750mL 5,100円)
当選人数 3名様
応募方法 下のボタンより応募フォームにお進みいただき、必要事項をご記入の上、ご応募ください。
応募に際し、CREA WEBメンバーの登録が必要です。
CREA WEBメンバーとは?

CREA WEBメンバーへの登録がお済みでない方は、上のボタンよりご登録ください。

注意事項

  • ・賞品の発送をもって発表に代えさせていただきます。
  • ・ご応募はおひとり様1回限りとさせていただきます。
  • ・応募期間終了後、厳正なる抽選の上、当選者を決定いたします。
  • ・賞品の詳細や当選者に関するお問い合わせは受け付けておりません。
  • ・賞品の転売、譲渡、換金はできません。
  • ・応募に際し、文藝春秋プライバシーポリシーにご同意ください。